米国の2011~12年の糖尿病有病率は12.4%であり、1988~94年の9.8%、2001~02年の10.8%から増加傾向が続いていることが明らかになった。同様の傾向は、男女別にみても、また年齢別や人種別にみた場合も認められたという。米国疾病予防管理センター(CDC)のAndy Menke氏らが、米国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)のデータを基に調べ報告した。JAMA誌2015年9月8日号掲載の報告。
非入院の米国住民について、横断研究
調査は、1988~94年、1999~2012年それぞれの期間、非入院の米国住民を対象に行われた。2011~12年の有病率予測には、2,781人のデータを利用。1988~2010年の傾向の予測には、さらに2万3634人のデータを加えて推算を行った。
有病率の定義は、糖尿病診断歴あり、または(1)HbA1c値が6.5%以上または空腹時血糖値(FPG)が126mg/dL以上、(2)食後2時間血糖値が200mg/dL以上とした。糖尿病前症の定義は、HbA1c値が5.7~6.4%、FPG値が100~125mg/dL、食後2時間PGが140~199mg/dLとした。
本調査定義の糖尿病患者のうち25~36%が未診断者
評価分析の結果、2011~12年の、補正前糖尿病有病率は、14.3%(95%信頼区間[CI]:12.2~16.8%)であった。このうち糖尿病と診断歴ありは9.1%で、5.2%は未診断の人だった。
糖尿病前症の補正前有病率は、38.0%(同:34.7~41.3)で、このうち36.4%の人が未診断の人だった。
有病率定義のうち、(1)または(2)を用いた場合の、補正前糖尿病有病率は12.3%(同:10.8~14.1)で、うち未診断の人の割合は3.1%(同:2.5~3.9%)であり、また、糖尿病前症の補正前有病率は36.5%(同:33.2~40.0%)で、うち未診断の人の割合は25.2%(同:21.1~29.8)だった。
人種別の年齢補正後糖尿病有病率は、白人11.3%に対して、黒人が21.8%(p<0.001)、アジア人20.6%(p=0.007)、ヒスパニック系22.6%(p<0.001)と後者が高かった。
年齢補正後の糖尿病有病率(HbA1c値またはFPGによる)は、1988~94年の9.8%から2001~02年の10.8%へ、さらに2011~12年の12.4%へと、有意な増加傾向が認められた(傾向p<0.001)。また、性別、年齢、人種/民族、教育レベル、収入対貧困比率の三分位群のいずれのサブグループでみた場合も、同様の有意な増加傾向が認められた。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)