中心静脈カテーテル挿入、鎖骨下静脈が低リスク/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2015/10/05

 

 中心静脈カテーテル(CVC)の挿入3部位別のリスクについて検討した結果、鎖骨下静脈へのカテーテル挿入が、内頸静脈または大腿静脈と比べて、血流感染および症候性血栓症のリスクが低いことが明らかにされた。気胸のリスクは高かった。フランス・CHU de CaenのJean-Jacques Parienti氏らが多施設共同無作為化試験の結果、報告した。CVCでは鎖骨下静脈、内頸静脈、大腿静脈の3部位への挿入が一般的に行われているが、いずれも重大合併症の可能性が指摘されていた。NEJM誌2015年9月24日号掲載の報告。

血流感染・症候性血栓症の複合リスクを比較
 試験は2011年12月~14年6月に、フランス国内の大学関連病院4施設、一般総合病院5施設、代表的な10ヵ所のICU施設で行われた。ICUで非留置型CVC受けた成人患者を、鎖骨下群、内頸静脈群、大腿群に無作為に割り付けて検討した。挿入が3部位とも検討可能であった患者は3部位選択肢比較で1対1対1の3群に、同2部位が可能であった患者は2部位選択肢比較で1対1の2群に、無作為に割り付けた。1部位のみの患者は試験に包含しなかった。

 主要アウトカムは、カテーテル関連の血流感染、症候性深部静脈血栓症の複合とした。

1,000カテーテル日当たり1.5 vs.3.6 vs.4.6(p=0.02)、ただし気胸発生が多い
 3,027例の患者に3,471本のカテーテル挿入が行われた。

 3部位選択肢比較の主要アウトカム発生は、鎖骨下群8例、内頸静脈群20例、大腿群22例であった。1,000カテーテル日あたりの発生はそれぞれ、1.5件、3.6件、4.6件であった(p=0.02)。

 2部位選択肢比較では、鎖骨下群 vs.大腿群では後者の主要アウトカム発生リスクが有意に高いことが示された(ハザード比[HR]:3.5、95%信頼区間[CI]:1.5~7.8、p=0.003)。また、鎖骨下群 vs.内頸静脈群でも後者の同発生リスクが有意に高かった(HR:2.1、95%CI:1.0~4.3、p=0.04)。一方で、大腿群と内頸静脈群のリスクは同等だった(HR:1.3、95%CI:0.8~2.1、p=0.30)。

 なお3部位選択肢比較において、胸腔チューブ挿入を要した気胸が鎖骨下群で13件(1.5%)、内頸静脈群で4件(0.5%)発生した。