肺動脈ワイヤレス・モニタリングの長期有効性を確認/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2015/11/24

 

 埋込式圧センサーで肺動脈圧をモニタリングする「CardioMEMS」システムについて、NYHA心機能分類III患者を対象とした無作為化試験CHAMPIONの延長フォローアップ試験の結果が発表された。通常ケアのみと比べて心不全による入院発生は有意に低く、長期的ベネフィットが確認されたという。米国・オハイオ州立大学のWilliam T Abraham氏ら試験グループが報告した。同試験については6ヵ月時点で、通常ケアと比較して心不全入院発生の有意な低下が確認されていた。研究グループはシステムの長期有効性を調べるため、モニタリング群を18ヵ月時点で評価する延長試験を、また対照群について圧情報アクセスをオープンとしてその臨床的効果を調べるため13ヵ月間の追加試験を行った。Lancet誌オンライン版2015年11月6日号掲載の報告より。

通常ケアのみ群を対照に無作為化試験
 CHAMPION試験は、前向き並行群間比較の単盲検多施設共同にて、NYHA心機能分類IIIの症候性心不全で入院歴のある患者を登録して行われた。患者は、センターでのコンピューター割り付けで、モニタリング群と対照群に無作為に割り付けられた。モニタリング群は、日々のアップロード肺動脈圧を用いた薬物療法が行われ、対照群は同利用のない薬物療法が行われたが、ガイドラインに基づく標準的な治療、デバイス、疾病管理戦略のすべてが行われた。

 モニタリング群の患者は患者の登録が終了するまで割り付けを知らされず、最低6ヵ月間の追跡を受けた(無作為化アクセス期間)。平均追跡期間は18ヵ月間であった。

 同期間終了とともに、研究者は全患者について肺動脈圧モニタリングを行いながら治療を行う13ヵ月間のフォローアップを行った(オープンアクセス期間)。

 主要アウトカムは、無作為化アクセス期間およびオープンアクセス期間における、モニタリング群と対照群の入院発生率で、intention to treat解析にて評価した。

無線システム使用群の心不全入院率は33%低下
 2007年9月6日~09年10月7日に、550例の患者をモニタリング群(270例)または対照群(280例)に無作為に割り付けた。

 無作為化アクセス期間は2010年8月に完了し、347例の患者(モニタリング群177例、対照群170例)が、オープンアクセス期間に移行、2012年4月30日まで追跡を受けた。

 結果、無作為化アクセス期間において、心不全入院率は、対照群と比較してモニタリング群で33%低かった(ハザード比[HR]:0.67、95%信頼区間[CI]:0.55~0.80、p<0.0001)。

 治療ガイドのための肺動脈圧情報が入手可能となったオープンアクセス期間(13ヵ月間)において、対照群の心不全入院率は、無作為化アクセス期間よりも48%減少した(HR:0.52、95%CI:0.40~0.69、p<0.0001)。

 有害事象などの報告は、デバイスまたはシステム関連の合併症が8例(1%)、処置関連の有害事象の7例(1%)であった。

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コメンテーター : 野間 重孝( のま しげたか ) 氏

栃木県済生会宇都宮病院 副院長

J-CLEAR評議員