リードレス心腔内経カテーテルペーシング、高い安全性・有効性確認/NEJM

リードレス心腔内経カテーテルペーシングシステムは、安全性・有効性ともに高いことが確認された。米国・オクラホマ大学健康科学センターのDwight Reynolds氏らによる、725例を対象にした多施設共同前向き試験で示された結果で、経静脈ペースメーカーと比較しても合併症発生率はおよそ半分だった。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。
6ヵ月後の低・安定ペーシング捕獲閾値達成率などを分析
研究グループは、ガイドラインに基づく心室ペーシング適応患者725例を対象に、非無作為化、単試験群で前向き試験を行った。安全性に関する主要評価項目は、6ヵ月後のシステムまたは処置に関連する重大合併症(イベント死、機器障害によるデバイス機能の恒久的喪失、入院など)の無発生率とした。有効性に関する主要評価項目は、6ヵ月後の低・安定ペーシング捕獲閾値(挿入時はパルス幅0.24msで2.0V以下、その後1.5V以下の増加)を達成した患者の割合とした。
被験者のうち300例が追跡期間6ヵ月に到達した時点から、主要評価項目の分析を開始した。
加えて事後解析として、これまでに発表された試験で経静脈ペースメーカーを挿入した、計2,667例の被験者を対照コホートとし、重大合併症発生率を比較した。
安全性・有効性の主要評価項目ともに達成目標を上回る
リードレス心腔内経カテーテルペーシングシステムの挿入が成功したのは719例(99.2%)だった。Kaplan-Meier法による安全性に関する主要評価項目の推定発生率は96.0%(95%信頼区間:93.9~97.3、p<0.001)で、達成目標値の83%を上回っていた。
重大合併症は、被験者725例中25例で28件が認められた。試験の途中脱落はなかった。
有効性に関する主要評価項目の発生率は、98.3%(同:96.1~99.5、p<0.001)と、達成目標値の80%を上回っていた。
事後分析の結果、対照コホートに比べ、リードレス心腔内経カテーテルペーシングシステム挿入による主な合併症発生率は有意に少なかった(ハザード比:0.49、同:0.33~0.75、p=0.001)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
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コメンテーター : 矢崎 義直( やざき よしなお ) 氏
東京医科大学病院 循環器内科 助教
J-CLEAR推薦専門医