経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時の新規抗血栓システムとして開発中のREG1は、重篤なアレルギー反応と関連することが明らかとなり、試験が早期に中止となったことが報告された。米国・クリーブランドクリニック研究センターのA Michael Lincof氏らがbivalirudinに対する優越性を検討していた。なお、試験の早期中止により統計的検出力に限りがあるものの、REG1がbivalirudinと比較して虚血性イベントや出血を抑制するとのエビデンスは示されなかったという。Lancet誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告。
北米とヨーロッパの225病院でbivalirudinに対する優越性を検討
REG1は、第IXa凝固因子阻害薬pegnivacoginと中和薬anivamersenを組み合わせた新規開発中の抗血栓システム。研究グループは、bivalirudinと比較して同システムは、PCI施行時は第IXa因子をほぼ完全に阻害し、その後anivamersenの局所中和作用によって、出血を増大することなく、虚血性イベントを抑制すると仮定し検討を行った。
北米とヨーロッパの225病院で、多施設共同無作為化非盲検実薬対照試験にて、REG1のbivalirudinに対する優越性を検討した。試験は、PCI施行患者1万3,200例をREG1群[PCI後にpegnivacoginを1mg/kgボーラス投与し(>99%第IXa因子を抑制)、anivamersenで80%中和]またはbivalirudin群に、無作為に割り付けて評価するよう計画された。なお、48時間以内のST上昇型心筋梗塞患者は除外された。
主要有効性エンドポイントは、無作為化後3日時点までの全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、予定外の標的病変血行再建の複合。主要安全性エンドポイントは、重大出血であった。
重篤アレルギー反応が報告され早期に中止
試験は3,232例が登録後、重篤アレルギー反応が報告され早期に中止された。同時点で、1,616例がREG1群に、1,616例がbivalirudin群に割り付けられており、それぞれ、1,605例、1,601例が治療を受けていた。
重篤アレルギー反応は、REG1群で10/1,605例(1%)、bivalirudin群で1/1,601例(1%未満)で報告された。
複合主要エンドポイントの発生は、REG1群108/1,616例(7%)、bivalirudin群は103/1,616例(6%)が報告され、両群間で差はみられなかった(オッズ比[OR]:1.05、95%信頼区間[CI]:0.80~1.39、p=0.72)。
重大出血の発生も同程度の発生で、REG1群7/1,605例(1%未満)、bivalirudin群2/1,601例(1%未満)であった(OR:3.49、95%CI:0.73~16.82、p=0.10)。ただし、重大・小出血の発生はREG1群の有意な増大がみられた(104例[6%] vs.65例[4%]、OR:1.64、95%CI:1.19~2.25、p=0.002)。
(医療ライター 武藤 まき)