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遺伝子検査は生活習慣の改善に結び付くのか?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2016/03/30

 

 遺伝子検査が手軽に広く行われるようになる中、疾患リスクに関するDNAベースの推定情報の提供が、キーとなる保健行動(喫煙、食事、運動)変化の動機づけになるといわれるようになっているが、本当に期待できるのか。英国・ケンブリッジ大学のGareth J Hollands氏らが、同関連についてシステマティックレビューとメタ解析により調べた結果、そのような期待を支持するエビデンスは見つからなかったと報告した。同様の命題を掲げた検討は、2010年にMarteau TM氏らがCochraneレビューにて行い、「支持するエビデンスがない」と報告している1)。今回のHollands氏らの報告は、Marteau TM氏らの報告をアップデートしたもので、既存の7試験に11試験を加えて分析を行った結果であった。BMJ誌オンライン版2016年3月15日号掲載の報告。

18試験を包含し、禁煙、食事、運動など7行動について分析
 レビューは2015年2月25日時点で、MEDLINE、Embase、PsycINFO、CINAHL、Cochrane Central Register of Controlled Trialsを検索して行われた。引用論文の検索なども行った。

 包含試験の適格条件は、無作為化または準無作為化試験で、疾患リスクが行動変容によって減少可能であると、DNAベースの疾患リスクの推定情報を受けていた成人被験者の1群が含まれている試験とした。また、具体的なリスク減少の行動変容を含む試験を適格とした。

 主要アウトカムは、行動変容の実行性とし、副次アウトカムは、行動変容への動機づけ、うつや不安の程度とした。

 レビューにより、18試験を分析に組み込んだ。これら試験では、7つの行動に関するアウトカムが報告されていた。このうち禁煙は6試験・2,663例、食事については7試験・1,784例、運動は6試験・1,704例であった。

DNAベースのリスク推定情報の提供で生活習慣が変化とのエビデンスはない
 メタ解析の結果、DNAベースのリスク推定の情報提供は、禁煙(オッズ比[OR]:0.92、95%信頼区間[CI]:0.63~1.35、p=0.67)、食事(標準化平均差:0.12、95%CI:-0.00~0.24、p=0.05)、運動(同:-0.03、-0.13~0.08、p=0.62)に有意な影響を与えていなかった。

 また、その他の行動(アルコール摂取、薬物使用、日焼け対策、スクリーニングや行動変容サポートプログラムの受診・受講)に関しても影響はみられなかった。行動の動機づけへの影響もみられず、情報提供により、うつや不安などの有害事象がみられたということもなかった。

 サブグループ解析で、リスクをもたらす遺伝子型の情報提供が、提供しなかった場合と比べて、行動に影響を及ぼすという明白なエビデンスは得られなかった。

 著者は、包含した試験についてバイアスリスクが高く不透明な点が多く、また、エビデンスの質が概して低かったと指摘したうえで、「DNAベースの推定リスクの情報提供が、行動変容をもたらすという期待を支持するエビデンスはない」と述べ、「今回の検討の結果は、一般的で複合的な疾患リスクを減らす行動変容の動機づけになるということを根拠に遺伝子検査を利用したり、リスクをもたらす遺伝子型の探索を行うことを支持しないものである」とまとめている。

参考文献
1)Marteau TM, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2010 Oct 6: CD007275.