看護師の夜勤シフトと冠動脈疾患リスク/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2016/05/12

 

 通常勤務(日勤・準夜勤)に加え月3回以上の夜勤シフト(ルーティン夜勤シフト)勤務に従事する女性看護師は、夜勤シフト従事歴のない人と比べて冠動脈性心疾患(CHD)イベントのリスク増大がみられ、同従事歴が長いほど、リスクは高まることが明らかにされた。米国ハーバード・メディカル・スクールのCeline Vetter氏らが、大規模前向きコホート研究「Nurses’ Health Studies」(看護師健康調査:NHS)の結果を分析した結果で、JAMA誌2016年4月26日号で発表した。勤務シフトとCHDの関連を検討した先行前向き研究では、相反する結果が報告されており、また追跡期間も短期のものだった。

約19万の女性看護師を24年超追跡
 研究グループは、試験開始時点で健康な女性看護師18万9,158例について、24年超追跡し、ルーティン夜勤シフト勤務とCHDイベントリスクの関連について検証した。被験者のうち、1988~2012年に実施したNHSの被験者は7万3,623例、1989~2013年に実施したNHS2の被験者は11万5,535例だった。

 主要評価項目はCHDの発生で、非致死的心筋梗塞、CHD死、血管造影により確認された狭心症、冠動脈バイパス術(CABG)、ステント留置、血管形成術などを含んだ。

 被験者のベースライン時の平均年齢は、NHSコホートが54.5歳、NHS2コホートが34.8歳だった。

ルーティン夜勤シフト従事歴10年以上でCHDリスクは約1.2倍に
 結果、追跡期間中に発生したCHDイベントは、NHSが7,303件、NHS2が3,519件だった。

 多変量補正Cox比例ハザードモデルで分析した結果、両コホートにおいて、ベースライン時のルーティン夜勤シフトの従事年数が長いほど、CHDイベントリスクの増大が認められた。

 具体的にNHSコホートでは、ベースライン時のルーティン夜勤シフト従事歴が5~9年の看護師は、同従事歴がない人と比べて、追跡期間中のCHDイベントに関するハザード比が1.12(95%信頼区間[CI]:1.02~1.22)だった。また、同従事歴が10年以上になると、同ハザード比は1.18(同:1.10~1.26)だった(傾向のp<0.001)。

 またNHSコホートについて、追跡期間前半のほうが、追跡期間後半に比べ、ルーティン夜勤シフト従事とCHDイベントリスクの関連性が強く、同シフト従事中止からの時間が経過するほど同リスクは減少することが示唆された(交互作用p=0.02)。

 NHS2コホートでも、ルーティン夜勤シフト中止からの経過期間が長いほど、CHDイベントリスクの減少がみられた(傾向p<0.001)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)