ネットで行う自助介入、うつ病発症抑制に効果/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2016/05/23

 

 閾値下うつ病成人について、インターネットを活用した自助介入が、通常ケアの強化介入と比較して、大うつ病(MDD)の発症を有意に減少したことが、ドイツ・ロイファナ大学リューネブルクのClaudia Buntrock氏らが行った無作為化試験の結果、示された。MDDのエビデンスベース治療は、機能・健康アウトカムを十分には改善できない。そのためMDDを発症させない予防に注目が集まっており、研究グループは、Webベースの自助介入の有用性を評価する検討を行った。JAMA誌2016年5月3日号掲載の報告。

ドイツの労働者を対象に無作為化試験
 検討は2013年3月1日~2015年3月4日に行われた。被験者は、大規模な公的健康保険組織(雇用者-労働者共同で運営する保険組織など)を介して集めたドイツの一般市民で、閾値下うつ病(CES-Dスコア16以上、DSM-IV基準でMDDなしと判定)成人406例であった。

 全被験者に対して、通常ケア(プライマリケアを受診)への受診制限を設けず、Webベースの自助介入(オンライントレーナーのサポートを受けながら認知行動および問題解決療法を行う:202例)を受ける(介入)群、またはWebベースの心理教育プログラム(204例)を受ける(対照)群に無作為に割り付けた。

 主要アウトカムは、追跡12ヵ月間における、対照群と比較した介入群のMDD発症までの期間とした。評価は、盲検化された診断評価者が、電話によるDSM-IVうつ病軸の構造化臨床インタビュー(Structured Clinical Interview for DSM-IV Axis Disorders)にて、6ヵ月、12ヵ月時点に行った。

12ヵ月のMDD発症、介入群27%、対照群41%
 無作為化された406例(平均年齢45歳、女性73.9%)のうち、335例(82%)が12ヵ月の電話フォローアップを完了した。

 MDDが認められたのは、介入群55例(27%)に対し、対照群84例(41%)であった。ベースラインのうつ症状重症度調整後のCox回帰分析で求めた12ヵ月時点のハザード比は、0.59(95%信頼区間[CI]:0.42~0.82、p=0.002)であった。

 NNT(MDD新規発症1例を回避するために必要な治療数)は、5.9(95%CI:3.9~14.6)であった。

 結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、オンライントレーナーのサポートがなくても、うつ病の初発および再発に対する効果が同等に認められるかを調べる必要がある」とまとめている。

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コメンテーター : 岡村 毅( おかむら つよし ) 氏

東京都健康長寿医療センター

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J-CLEAR評議員