複合ピルの肺塞栓症リスク、低用量エストロゲンで低減/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2016/05/25

 

 複合経口避妊薬は肺塞栓症のリスクを増大することが知られるが、エストロゲンの用量を低量(20μg)とすることで、同高用量(30~40μg)の場合と比べて、肺塞栓症、および虚血性脳卒中、心筋梗塞のリスクは低減することが示された。フランス全国健康保険組織公衆衛生研究部門のAlain Weill氏らが、フランス人女性500万例を対象としてコホート研究の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「エストロゲン20μg用量のレボノルゲストレルを組み合わせた経口避妊薬が、全体として肺塞栓症、動脈血栓塞栓症の低リスクと関連していた」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年5月10日号掲載の報告。

ピル服用歴のあるフランス人女性500万例を対象に観察コホート研究
 研究グループは観察コホート研究にて、エストロゲン(エチニルエストラジオール)とプロゲステロンの組み合わせ用量が異なる複合経口避妊薬と、肺塞栓症、虚血性脳卒中、心筋梗塞発生との関連を調べた。

 フランス全国健康保険組織のデータベースと、フランス病院退院データベースを活用。2010年7月~2012年9月に、フランスで生活をしている15~49歳の女性494万5,088例のデータを包含した。被験者は、経口避妊薬について1回以上の償還払いを受けており、がん、肺塞栓症、虚血性脳卒中、心筋梗塞について入院歴がなかった。

 主要評価項目は、初発の肺塞栓症、虚血性脳卒中、心筋梗塞の相対リスクおよび絶対リスクとした。

20μgレボノルゲストレル使用群では、肺塞栓症、虚血性脳卒中、心筋梗塞が低減
 経口避妊薬使用が認められた544万3,916人年において、3,253例のイベント発生が観察された。肺塞栓症が1,800例(10万人年当たり33例)、虚血性脳卒中1,046例(同19例)、心筋梗塞は407例(同7例)であった。

 プロゲステロンおよびリスク因子補正後、20μgの低用量エストロゲン使用群の30~40μgエストロゲン使用群に対する相対リスクは、肺塞栓症について0.75(95%信頼区間[CI]:0.67~0.85)、虚血性脳卒中は0.82(同:0.70~0.96)、心筋梗塞は0.56(同:0.39~0.79)であった。

 エストロゲン用量およびリスク因子補正後、レボノルゲストレルとの比較において、デソゲストレルlおよびgestodeneの肺塞栓症の相対リスクは統計的に有意に高く、それぞれ2.16(95%CI:1.93~2.41)、1.63(同:1.34~1.97)であった。

 エストロゲン20μg用量のレボノルゲストレルは、同30~40μg用量のレボノルゲストレルと比べて、3つの重大有害イベントいずれの発生リスクについても統計的に有意に低かった。