進行全身性肥満細胞症、midostaurinが有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2016/07/13

 

 すでに進行した全身性肥満細胞症に対する、新規開発薬midostaurin(PKC412)の有効性が、米国・スタンフォードがん研究所のJason Gotlib氏らによる国際多施設共同の第II相非盲検試験の結果、確認された。対象被験者には致死率の高い異型肥満細胞白血病の症例も含まれていた。進行全身性肥満細胞症は、予後不良で有効な治療選択肢がないまれな造血器腫瘍を伴う。midostaurinは、疾患発症の主因子であるKIT D816Vを阻害するマルチキナーゼ経口阻害薬である。NEJM誌2016年6月30日号掲載の報告。

29医療施設で患者116例を登録、midostaurin 100mgを1日2回経口投与
 試験は単群非盲検試験で2009年1月~2012年7月に、29の医療施設で患者116例を登録し、midostaurin 100mgを1日2回経口投与した。

 116例のうち89例において、主要有効性集団の包含基準を満たす肥満細胞症の関連臓器障害が認められた(侵襲性全身性肥満細胞症16例、関連造血器腫瘍を有する全身性肥満細胞症57例、肥満細胞白血病16例)。

 主要アウトカムは、最良総合効果(best overall response)であった。

全生存期間中央値28.7ヵ月、無増悪生存期間14.1ヵ月
 全奏効率(overall response)は、60%(95%信頼区間[CI]:49~70)であった。うち45%の患者で、少なくとも1種類の肥満細胞症の関連臓器障害の完全な消失として定義した、著効(major response)が認められた。

 奏効率は、進行全身性肥満細胞症の病型の違いや、KITの異型、または既治療を問わず類似していた。

 骨髄肥満細胞負荷、および血清トリプターゼ値の最良変化率の中央値は、それぞれ-59%、-58%であった。

 全生存期間中央値は、28.7ヵ月であり、無増悪生存期間は14.1ヵ月であった。肥満細胞白血病を認めた16例の全生存期間は9.4ヵ月(95%CI:7.5~推定不能)であった。

 全体で56%(65例)の患者で、毒性による投与量減量が行われたが、そのうち32%において、開始用量までの再増量を図ることができた。

 頻度の高かった有害事象は悪心(79%)、嘔吐(66%)、下痢(54%)であったが、そのうち薬物関連と思われるGrade III/IVの事象はそれぞれ6%、6%、8%であった。また、新規発症または増悪したGrade III/IVの好中球減少24%、貧血41%、血小板減少29%が認められ、それら患者の多くで血球減少の既往があった。