プライマリケアでの高リスク処方を減らすには/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2016/09/07

 

 プライマリケアでの高リスク処方減少に、どのような介入が有効か。英国・ダンディー大学のBruce Guthrie氏らは、教育的介入とフィードバックを行う介入、さらにフィードバックに行動変容を促す介入を加えた3つの方法を比較するクラスター無作為化試験を行った。結果、教育的介入では有意な減少効果はみられなかったが、フィードバックを加味した2つの介入は教育的介入との比較で12~14%減少し、高リスク処方減少に有効であることが認められたという。医療やアウトカムの質の向上や安全対策では、審査とフィードバックを行う介入が有効であることが示されているが、処方安全の観点ではエビデンスはほとんどなかった。また、これまでのフィードバック試験では、方法論的に限界があった。BMJ誌オンライン版2016年8月18日号掲載の報告。

教育的介入 vs.フィードバックも実施 vs.さらに行動変容介入も
 試験は、スコットランドの3つの衛生局区域からプライマリケア医262/278例(94%)が参加して行われた。被験者を3群に無作為に割り付け、第1(通常介入)群には、教育的介入として、患者特定の検索をサポートする教育的教材を電子メールで送付した(88例)。第2(フィードバック介入)群には、通常介入に加えて、高リスク処方の実施率が年4回、試験期間中計5回にわたって電子メールで送られた(87例)。第3(フィードバック+理論的行動変容介入)群には、前者2つの介入に加えてさらに、フィードバックの際に、行動変容要素が組み込まれた介入が行われた(87例)。

 主要アウトカムは、患者レベルでみた、抗精神病薬、NSAIDs、抗血小板薬の高リスクに関する6つの処方(1:75歳以上の患者における経口抗精神病薬の処方割合、2:65歳以上で利尿薬とACE阻害薬またはARB治療を受ける患者における経口NSAIDの処方割合など)の複合であった。副次アウトカムは、6つの処方それぞれの評価であった。

 主要解析は、15ヵ月時点で評価した、2つのフィードバック介入群の第1群と比較した高処方の割合であった。副次解析では、それぞれの介入による即時の変化傾向を調べた。

フィードバックの有用性を確認
 主要解析の結果、高リスク処方(主要アウトカム)は、通常介入群では6.0%(3,332/5万5,896例)から5.1%(2,845/5万5,872例)への減少であったが、フィードバック介入群では5.9%(3,341/5万6,194例)から4.6%(2,587/5万6,478例)への減少が認められた(通常介入と比較したオッズ比[OR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.80~0.96、p=0.007)。また、フィードバック+行動変容介入群では、6.2%(3,634/5万8,569例)から4.6%(2,686/5万8,582例)への減少が認められた(0.86、0.78~0.95、p=0.002)。

 副次解析において、本試験の介入前に、高リスク処方が減少傾向にあったことが認められた。そのうえで各介入の介入前と介入後の影響を調べた結果、通常介入の教育的介入では、介入前にみられた減少傾向に影響を与えていないことが判明した。一方、フィードバックを求めた2つの介入では、介入前よりも介入後に、有意に急速な減少が認められた。

 これらの結果を踏まえて著者は、「処方の安全性データのフィードバックは、高リスク処方減少に効果的である。介入は、電子カルテが一般的に使用されるようになっているかどうかで実施可能である」と述べている。