腹壁瘢痕ヘルニア修復術の予後、メッシュ vs.非メッシュ/JAMA

腹壁瘢痕ヘルニアの治療では、メッシュを使用した修復術はこれを使用しない修復術に比べ、5年時までの再手術のリスクが有意に低いが、このメッシュのベネフィットは、長期的には関連合併症によって部分的に相殺されることが、デンマーク・ジーランド大学病院のDunja Kokotovic氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2016年10月17日号に掲載された。メッシュは、ヘルニアの再発リスクを低減すると考えられ、修復術の補助として一般に用いられているが、メッシュ留置に伴う長期的な合併症の発生状況は知られていないという。
3,000例以上でメッシュと非メッシュ修復術を比較
研究グループは、腹壁瘢痕ヘルニアへの待機的修復術の長期的な予後について検討するコホート研究を行った。2007年1月1日~2010年12月31日までにデンマークで実施された、すべての腹壁瘢痕ヘルニアの待機的修復術が含まれる全国的な患者登録コホート研究のデータを用いた。フォローアップが完全に行われた患者が、解析の対象となった。
メッシュを用いた開腹または腹腔鏡下のヘルニア修復術と、メッシュを使用しない開腹修復術を比較した。主要評価項目は、再発による再手術、および手術を要するメッシュ関連合併症の5年リスクであった。
解析には3,242例が含まれた。ベースラインの全体の平均年齢は58.5(SD 13.5)歳、女性が53.1%(1,720例)であった。
内訳は、メッシュ開腹修復術が1,119例(34.5%)、メッシュ腹腔鏡下修復術が1,757例(54.2%)、非メッシュ開腹修復術は366例(11.3%)であった。フォローアップ期間中央値は、それぞれ59ヵ月、61ヵ月、62ヵ月だった。
長期的な手術関連合併症は、非メッシュが良好
初回ヘルニア修復術後の再発ヘルニアへの再修復術のリスクは、非メッシュ開腹修復術の17.1%(95%信頼区間[CI]:13.2~20.9%)に比べ、メッシュ開腹修復術は12.3%(95%CI:10.4~14.3%、リスク差:-4.8%、95%CI:-9.1~-0.5%)、メッシュ腹腔鏡下修復術は10.6%(95%CI:9.2~12.1%、リスク差:-6.5%、95%CI:-10.6~-2.4%)であり、いずれも有意に良好であった。メッシュ関連合併症は、開腹修復術、腹腔鏡下修復術の双方とも、フォローアップ期間の全体を通じて徐々に増加した。フォローアップ期間5年時のメッシュ関連合併症の累積発生率は、開腹修復術が5.6%(95%CI:4.2~6.9%)、腹腔鏡下修復術は3.7%(95%CI:2.8~4.6%)であった。
長期的な手術関連合併症の発生率は、非メッシュ開腹修復術が0.8%と、メッシュ開腹修復術の6.1%(リスク差:5.3%、95%CI:4.4~6.2%)、メッシュ腹腔鏡下修復術の4.2%(リスク差:3.4、95%CI:2.7~4.1%)に比べ、有意に低かった。
著者は、「メッシュ関連合併症は持続的に増加したことから、5年以上の長期のフォローアップを行えば、さらに増加し続けるものと予測される」としている。
(医学ライター 菅野 守)
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