光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography:OCT)ガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、血管内超音波(Intravascular ultrasound:IVUS)ガイド下に対し、臨床的アウトカムは非劣性であることが示された。一方でOCTガイド下PCIは、IVUSガイド下や血管造影ガイド下に対し、いずれも優越性は認められなかった。米国・コロンビア大学のZiad A Ali氏らが、450例を対象に行った無作為化試験「ILUMIEN III: OPTIMIZE PCI」の結果、明らかにした。PCIは、血管造影単独ガイド下での実施が最も多い。IVUSは、PCI後の主要有害心血管イベント(MACE)を抑制することが示されている。OCTは、IVUSよりも画像解像度が高いが、ステント留置後の血管内径を狭めてしまう可能性が複数の試験で示されていた。Lancet誌オンライン版2016年10月30日号で発表した。
8ヵ国29ヵ所で450例を対象に試験
研究グループは、2015年5月~2016年4月にかけて、8ヵ国29ヵ所の医療機関を通じ、PCI実施予定の18歳以上、450例を対象に試験を開始した。被験者適格基準は、自己冠動脈に1ヵ所以上の標的病変があり、肉眼評価による血管径は2.25~3.50mmで、長さは40mm未満だった。
被験者を無作為に3群に分け、OCT(158例)、IVUS(146例)、血管造影(146例)のそれぞれガイド下で、ステント留置術を行った。被験者は最終的には全員がOCTを受けたが、IVUS群、血管造影群の施術者にその情報は知らされなかった。
主要有効性エンドポイントは、PCI後の最小ステント面積で、安全性に関する主要評価項目は、処置に関連したMACEの発生だった。
OCTガイド下のIVUSに対する非劣性(非劣性マージン1.0mm
2)、血管造影に対する優越性、IVUSに対する優越性、のそれぞれについて、階層的に検証した。
最小ステント面積でアウトカムを比較
最終的にOCTデータが入手でき解析されたのは415例だった(OCT群140例[34%]、IVUS群135例[33%]、血管造影群140例[34%])。
解析の結果、最小ステント面積の最終中央値は、OCT群が5.79mm
2(四分位範囲:4.54~7.34)、IVUS群が5.89mm
2(同:4.67~7.80)、血管造影群が5.49 mm
2(4.39~6.59)だった。
OCTガイド下PCIは、IVUSガイド下PCIに対し非劣性は示されたが(片側97.5%下限信頼区間[CI]:-0.70mm
2、p=0.001)、優越性は認められなかった(p=0.42)。また、OCTガイド下PCIは、血管造影ガイド下に対しても優越性は示されなかった(p=0.12)。
処置関連MACEの発生は、OCT群が3%、IVUS群が1%、血管造影群が1%だった(OCT群 vs.IVUS群:p=0.37、OCT群vs.血管造影群:p=0.37)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)