左冠動脈主幹部病変の治療について、SYNTAXスコアが低~中スコアの患者ではエベロリムス溶出ステント留置を伴う冠動脈インターベンション(PCI)が、冠動脈バイパス術(CABG)に対し非劣性であることが、米国・コロンビア大学のGregg W Stone氏らが行った大規模無作為化試験「EXCEL」の3年追跡評価の結果、示された。閉塞性の左冠動脈主幹部病変に対しては通常、CABGが行われるが、先行の無作為化試験で、選択的な患者でPCI/薬剤溶出ステント留置が、CABGに代わりうる可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2016年10月31日号掲載の報告より。
SYNTAX低中スコア1,905例を対象に検討
EXCEL試験は国際非盲検多施設共同無作為化試験で、2010年9月29日~2014年3月6日に17ヵ国126施設で、左冠動脈主幹部病変を有し、解剖学的に病変の複雑性は低~中程度(各試験施設の評価でSYNTAXスコア[最低スコアが0で高値になるほど〈上限値なし〉複雑病変であることを示す]が32未満である者)の試験適格患者1,905例を集めて行われた。
被験者は、PCI/フルオロポリマーベースのエベロリムス溶出性コバルトクロムステント留置群(PCI群、948例)またはCABG群(957例)に無作為に割り付けられた。
主要エンドポイントは、3年時点の全死因死亡・脳卒中または心筋梗塞の発生率の複合であった。試験は、主要エンドポイントの非劣性マージン4.2ポイントを検証できるように進められた。
主な副次エンドポイントは、30日時点の全死因死亡・脳卒中または心筋梗塞の複合発生率、3年時点の死亡・脳卒中・心筋梗塞または虚血による血行再建術の複合発生率などであった。イベント発生率は、時間-初回イベント解析におけるKaplan-Meier推定法に基づくものであった。
PCI群の非劣性が認められる
結果、3年時点で主要エンドポイントのイベント発生率は、PCI群15.4%、CABG群14.7%。両群差は0.7ポイント(97.5%信頼区間[CI]上限値:4.0ポイント、非劣性のp=0.02)で、PCI群の非劣性が示された。ハザード比は1.00(95%CI:0.79~1.26、優越性のp=0.98)であった。
副次エンドポイントのうち、30日時点の全死因死亡・脳卒中・心筋梗塞の複合発生率については、PCI群4.9%、CABG群7.9%であった(非劣性のp<0.001、優越性のp=0.008)。3年時点の死亡・脳卒中・心筋梗塞・血行再建術の複合発生率は、PCI群23.1%、CABG群19.1%であった(非劣性のp=0.01、優越性のp=0.10)。