クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)に初感染または再発し経口抗菌薬を投与された成人患者に対し、bezlotoxumabを投与することで、12週以内の再発リスクが10%以上有意に低下したことが示された。英国・Leeds General InfirmaryのMark H. Wilcox氏らが、2,655例を対象に行った第III相臨床試験の結果で、NEJM誌2017年1月26日号で発表した。安全性プロファイルはプラセボと類似していたこと、bezlotoxumabにアクトクスマブを併用投与しても、その低減効果は変わらなかったことも報告されている。
30ヵ国、322ヵ所で無作為化試験
研究グループは2011~15年、30ヵ国(322ヵ所)で、
C. difficileの初感染また再発に対し標準治療として経口抗菌薬を投与された成人患者2,655例を対象に、無作為化プラセボ対照二重盲検試験「MODIFY I・II」を行った。
被験者は、bezlotoxumab(10mg/kg)、アクトクスマブ+bezlotoxumab(各10mg/kg)、プラセボを、それぞれ点滴静注された。なお、MODIFY I試験ではアクトクスマブ(10mg/kg)単剤投与も行ったものの、予定されていた中間解析後に中止した。
主要評価項目は、投与後12週間以内の再発した感染(最初の臨床的治癒後の初回発生)で、修正intention-to-treat集団により評価した。
再発率、プラセボ群26~28%に対しbezlotoxumab単剤・併用群15~17%
その結果、両試験において、
C. difficile再発率はbezlotoxumab単剤群でプラセボ群より低率だった(MODIFY I:bezlotoxumab単剤群が17%、プラセボ群が28%、補正後群間差:-10.1%、p<0.001、MODIFY II:bezlotoxumab単剤群16%、プラセボ群26%、同:-9.9%、p<0.001)。また、アクトクスマブ+bezlotoxumab群もプラセボ群に比べ低率だった(MODIFY I:アクトクスマブ+bezlotoxumab群が16%、補正後群間格差:-11.6%、p<0.001、MODIFY II:同15%、同:-10.7%、p<0.001)。
事前に設定したサブグループ解析では、再発リスクや有害アウトカムのリスクが高いサブグループの再発率は、bezlotoxumabを投与した2群でプラセボ群に比べ有意に低率だった。
初回臨床的治癒率は、bezlotoxumab単剤群が80%、アクトクスマブ+bezlotoxumab群が73%、プラセボ群が80%で、初回臨床的治癒12週間以内に再発が認められない持続的治癒率は、それぞれ64%、58%、54%だった。
有害事象の発現率は3群で同程度だった。頻度が高かったのは下痢と悪心だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)