高齢の膠芽腫患者に対する短期放射線療法+テモゾロミドは、短期放射線療法単独と比較して生存期間を延長させることが、カナダ・オデットがんセンターのJames R Perry氏らによる、65歳以上の初発膠芽腫患者を対象とした第III相無作為化試験の結果、明らかになった。膠芽腫は高齢が予後不良因子となる。これまでの研究では、標準放射線療法(60Gy/6週間)+テモゾロミド追加投与により、70歳以下の患者で生存期間の延長が示されていた。一方、高齢患者には短期放射線療法が用いられることも少なくないが、短期放射線療法+テモゾロミド併用の有効性は不明であった。NEJM誌2017年3月16日号掲載の報告。
65歳以上の初発膠芽腫患者約600例で、短期照射単独とテモゾロミド併用を比較
研究グループは、新たに膠芽腫(WHO grade IV)と診断された65歳以上の高齢患者562例(年齢中央値73歳、範囲65~90歳)を、放射線療法(40Gy/15分割/3週間)単独群と、放射線療法+テモゾロミド(75mg/m
2/日を毎日、21日間)同時併用群(テモゾロミド併用群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。
主要評価項目は全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)で、有効性に関してはintention-to-treat解析を実施した。
テモゾロミド併用により、OS、PFSのいずれも延長
OS中央値は、放射線療法単独群7.6ヵ月に対し、テモゾロミド併用群は9.3ヵ月と有意な延長が認められた(死亡のハザード比[HR]:0.67、95%信頼区間[CI]:0.56~0.80、p<0.001)。同様にPFS中央値も有意に延長した(それぞれ3.9ヵ月と5.3ヵ月、疾患進行または死亡のHR:0.50、95%CI:0.41~0.60、p<0.001)。
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6-メチルグアニン-DNA メチルトランスフェラーゼ(MGMT)遺伝子のメチル化の有無別に検討すると、OS中央値は、メチル化症例165例では放射線療法単独群7.7ヵ月、テモゾロミド併用群13.5ヵ月(死亡のHR:0.53、95%CI:0.38~0.73、p<0.001)、非メチル化症例189例ではそれぞれ7.9ヵ月と10.0ヵ月(死亡のHR:0.75、95%CI:0.56~1.01、p=0.055、交互作用のp=0.08)であった。生活の質(QOL)は両群で類似していた。
(医学ライター 吉尾 幸恵)