高齢入院患者で担当医の年齢が上がるほど高い死亡率/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2017/05/26

 

 内科疾患で緊急入院した65歳以上の患者の30日死亡率は、年間の担当患者数が多い医師を除き、若手医師の治療を受けた患者よりも年長医師の治療を受けた患者で高かった。米国・ハーバード公衆衛生大学院の津川友介氏らが、米国の急性期病院に入院したメディケア受給高齢患者のデータを用い、担当医の年齢で転帰に違いがあるかを検証し、報告した。これまでの研究で、年長医師は若手医師と比べて、医学的知識が乏しく、ガイドラインに準じた標準治療を行わないことが多く、診断・スクリーニング・予防的治療の質も劣ることが示唆されていた。しかし、医師の年齢が死亡率など患者の転帰に及ぼす影響は不明であった。BMJ誌2017年5月16日号掲載の報告。

65歳以上の入院患者約74万人とその担当医約2万人のデータを解析
 研究グループは、Medicare Inpatient Carrier and Medicare Beneficiary Summary Files、Doximityにより収集された医師データ、および米国病院協会年次調査の複数のデータベースを用い、2011年1月1日~2014年12月31日に内科疾患で救急病院に入院した、65歳以上のメディケア出来高払い受給者のうち無作為に抽出した73万6,537人、ならびにその患者を治療したホスピタリスト(勤務予定に基づいて割り当てられ診療を行う、入院患者の治療に特化した総合診療医)1万8,854人(年齢中央値41歳)のデータを解析した。

 主要評価項目は患者の30日死亡率、退院後30日再入院率、治療費で、それぞれ医師の年齢との関連を調べた。患者特性(年齢、性別、人種、主要診断、併存疾患、世帯収入など)は、医師の全年齢層で類似していた。

担当患者数が多い医師を除き、医師の年齢が上がるほど死亡率が上昇
 患者特性、医師特性(性別、卒業した医学部)、ならびに病院を固定効果(同一病院内の医師同士を比較)として補正した後の患者の30日死亡率は、治療を行った医師の年齢が40歳未満で10.8%(95%信頼区間[CI]:10.7~10.9)、40~49歳11.1%(95%CI:11.0~11.3、対40歳未満の補正後オッズ比:1.04、p<0.001)、50~59歳11.3%(11.1~11.5、1.07、p<0.001)、60歳以上12.1%(11.6~12.5、1.17、p<0.001)であった。しかし、担当患者数が多い(年間>200例)医師では、医師の年齢と患者の死亡率との間に関連性はなかった。

 再入院率は、医師の年齢による違いは認められなかった。一方で、治療費は医師の年齢が上がるにつれわずかに上昇した。

 同様の結果は、一般内科医全体や複数の感度解析(緊急病状の患者、予定入院患者、20~64歳の患者など)においても確認された。

 なお、著者は研究の限界として、医師の年齢は医師能力の関連要因の1つにすぎないこと、非メディケア集団や、外科医または他の専門医による治療を受けた患者などには一般化できない可能性を挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)