COPD急性増悪、HOT+在宅NIVで予後改善/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2017/06/02

 

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性増悪後に高炭酸ガス血症が持続する患者において、在宅酸素療法(HOT)に加え在宅非侵襲的換気療法(NIV)を併用することにより、12ヵ月以内の再入院または死亡までの期間が延長した。英国・セント・トーマス病院のPatrick B. Murphy氏らが、多施設共同無作為化非盲検並行群間比較第III相試験の結果を報告した。NIVを必要とするようなCOPD急性増悪後の転帰は悪く、再入院や死亡を予防するための治療はほとんどなかった。JAMA誌オンライン版2017年5月21日号掲載の報告。

HOT+在宅NIVの有効性、12ヵ月以内の再入院・死亡までの期間で評価

 研究グループは、2010~2015年に英国13施設において、呼吸性アシデミア(非代償性アシドーシス、動脈血pH>7.30)改善後の病状が安定した2~4週に高炭酸ガス血症が持続する患者(PaCO2>53mmHg)を登録し、HOT単独群とHOT+在宅NIV群に1対1の割合で無作為に割り付けた。肥満(BMI>35)、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、他原因の呼吸不全などの患者は除外した。スクリーニングされた患者2,021例中適格症例は124例で、このうち116例が無作為化された。

 主要評価項目は、これまでのCOPDによる入院回数、長期酸素療法の使用歴、年齢、BMIを補正した12ヵ月以内の再入院または死亡までの期間とした。統計解析には、Cox比例ハザード回帰モデルを使用した。

再入院・死亡までの期間はHOT+在宅NIV療法で延長、死亡率に有意差なし

 116例の患者背景は、平均(±SD)年齢67±10歳、女性53%、平均BMIが21.6(IQR:18.2~26.1)、平均1秒量0.6±0.2L、平均室内気吸入下PaCO2が59±7mmHgであった。HOT単独群59例(酸素流量中央値1.0L/分[IQR:0.5~2.0L/分])、HOT+在宅NIV群57例(酸素流量中央値1.0L/分[IQR:0.5~1.5L/分])で、12ヵ月間の試験を完遂したのは合計64例(HOT単独群28例、HOT+在宅NIV群36例)であった。在宅での換気設定中央値は、吸気気道陽圧24(IQR:22~26)cmH2O、呼気気道陽圧4(IQR:4~5)cmH2O、バックアップ換気回数14(IQR:14~16)回/分であった。

 再入院または死亡までの期間中央値は、HOT+在宅NIV群4.3ヵ月(IQR:1.3~13.8ヵ月)に対し、HOT単独群は1.4ヵ月(IQR:0.5~3.9ヵ月)で、補正ハザード比は0.49(95%信頼区間[CI]:0.31~0.77、p=0.002)であった。12ヵ月間の再入院または死亡リスクは、HOT+在宅NIV群63.4%に対し、HOT単独群は80.4%、絶対リスク減少率は17.0%(95%CI:0.1~34.0)であった。12ヵ月時点での死亡は、HOT+在宅NIV群16例、HOT単独群19例であった。

 なお、著者は、二重盲検デザインではないことや、HOT単独群に割り付けられた患者が主要評価項目に達した場合は在宅NIVを追加した実用的試験であることなどを研究の限界として挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 倉原 優( くらはら ゆう ) 氏

近畿中央呼吸器センター

2006年滋賀医大卒業。洛和会音羽病院を経て08年から現職。
自身のブログ「呼吸器内科医」では医学論文の和訳や医療エッセーを執筆。