COPD急性増悪、入院患者の約6%が肺塞栓症/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2021/01/15

 

 呼吸器症状の急性増悪で入院した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、あらかじめ定めた診断アルゴリズムを用いると、5.9%の患者に肺塞栓症が検出された。フランス・Centre Hospitalo-Universitaire de BrestのFrancis Couturaud氏らが、同国内の病院7施設で実施した前向き多施設共同横断研究「prevalence of symptomatic Pulmonary Embolism in Patients With an Acute Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease study:PEP研究」の結果を報告した。COPDで呼吸器症状が急性増悪した患者における肺塞栓症の有病率はこれまで明らかになっておらず、COPDの急性増悪で入院した患者に対していつどのように肺塞栓症のスクリーニングをするかが課題であった。JAMA誌2021年1月5日号掲載の報告。

COPD急性増悪による入院患者を肺塞栓症診断アルゴリズムで評価

 研究グループは、2014年1月~2017年5月の間に呼吸器症状の急性増悪のため入院したCOPD患者を対象に、あらかじめ定めた肺塞栓症診断アルゴリズム(改訂ジュネーブスコアによる検査前確率判定、Dダイマー検査、スパイラルCT肺血管造影+下肢圧迫超音波検査)を入院48時間以内に適用し、3ヵ月間追跡調査した(追跡調査最終日は2017年8月22日)。

 主要評価項目は、入院48時間以内に診断された肺塞栓症であった。主な副次評価項目は、入院時に静脈血栓塞栓症を有していないとして抗凝固療法を受けなかった患者における3ヵ月間の肺塞栓症とした。その他の評価項目は、入院時および3ヵ月間の静脈血栓塞栓症(肺塞栓症または深部静脈血栓症)、ならびに3ヵ月間の死亡(静脈血栓塞栓症が臨床的に疑われるかどうかにかかわらない)とした。

COPD急性増悪で入院後、2日以内に約6%で肺塞栓症が確認

 COPD急性増悪のため入院した患者の計740例(平均[±SD]年齢68.2±10.9歳、女性274例[37.0%])が登録された。このうち、入院48時間以内に肺塞栓症が確認されたのは44例(5.9%、95%信頼区間[CI]:4.5~7.9%)であった。

 COPD急性増悪による入院時に静脈血栓塞栓症を有していないと判定され抗凝固療法を受けなかった患者670例において、3ヵ月間の追跡期間中に肺塞栓症が確認されたのは5例(0.7%、95%CI:0.3~1.7%)で、このうち3例は肺塞栓症に関連して死亡した。

 全例における3ヵ月死亡率は、6.8%であった(50/740例、95%CI:5.2~8.8%)。追跡期間中に死亡した患者の割合は、入院時静脈血栓塞栓症有病者が非有病者と比較して高かった(25.9%[14/54例]vs.5.2%[36/686例]、リスク差:20.7%、95%CI:10.7~33.8%、p<0.001)。

 静脈血栓塞栓症の有病率は、肺塞栓症が疑われた患者(299例)で11.7%(95%CI:8.6~15.9%)、肺塞栓症が疑われなかった患者(441例)で4.3%(95%CI:2.8~6.6%)であった。

 著者は、研究の限界として、呼吸器症状の急性増悪が軽度であった患者や重度呼吸不全患者は過小評価されている可能性があること、17.6%の患者は肺塞栓症の初回評価を完遂できていないことなどを挙げたうえで、「COPD患者における肺塞栓症の体系的なスクリーニングが果たしうる役割について、さらなる研究により理解する必要がある」とまとめている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 山口 佳寿博( やまぐち かずひろ ) 氏

山梨大学 医学部 呼吸器内科 臨床教授

健康医学協会附属 東都クリニック