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インフルエンザワクチン、遺伝子組換え vs.不活化/NEJM

従来の不活化インフルエンザワクチンと比べて、遺伝子組み換えインフルエンザワクチンが優れた防御能を示したことが、米国・Protein Sciences社のLisa M. Dunkle氏らが行った第III-IV相の多施設共同無作為化二重盲検試験の結果、報告された。検討されたのは遺伝子組み換え4価インフルエンザワクチン(RIV4)で、試験は2014~15年のインフルエンザシーズンに、50歳以上の成人を対象に実施された。標準用量の鶏卵培養4価不活化インフルエンザワクチン(IIV4)接種群よりも、確認されたインフルエンザ様疾患の確率が30%低かったという。なお、同時期のインフルエンザはA/H3N2型が主流で、ワクチン株の抗原性との不一致により多くの認可ワクチンについて効果の低下がみられたシーズンであった。NEJM誌2017年6月22日号掲載の報告。
50歳以上の成人9,003例を対象に無作為化試験
試験は2014年10月22日~12月22日に、50歳以上の成人9,003例を登録して行われた。被験者を、RIV4(遺伝子組み換え赤血球凝集素[HA]量45μg/株、蛋白量180μg/接種)またはIIV4(同15μg、60μg)を接種する群に無作為に割り付け、ワクチン接種後14日以降に、発症がRT-PCR法で確認されたインフルエンザ様疾患(事前にプロトコルで規定されたあらゆるインフルエンザ株によるもの)に対する相対的なワクチンの有効性を比較した。被験者にインフルエンザ様疾患の症状がみられた場合、鼻咽頭スワブで検体を採取し、RT-PCRと培養検査でインフルエンザ感染の確定診断を行った。主要エンドポイントは、ワクチン接種後14日~インフルエンザシーズン終了(2015年5月22日)に、RT-PCRで確認・プロトコルに規定されていたインフルエンザ様疾患とした。
遺伝子組み換えのほうが、確認されたインフルエンザ様疾患の確率が30%低い
9,003例のうち8,855例(98.4%)が試験ワクチンの接種を受け、有効性に関する追跡を受けた(修正intention-to-treat集団)。ワクチン接種後のデータを得られて安全性解析に包含されたのは8,672例(96.8%)。RIV4群とIIV4群のベースラインの特性は両群で類似しており、平均年齢は両群とも63歳、男性の比率はそれぞれ41.5%、41.6%であった。鼻咽頭スワブで検体を採取したのは、RIV4群809/4,328例(18.7%)、IIV4群822/4,344例(18.9%)。検出されたインフルエンザ株は234/1,631検体(14.3%)で、A/H3N2型が最も多く181例、B型が47例、A亜型不明が6例であった。
per-protocol解析の追跡を完了した8,604例(95.6%、修正per-protocol集団)において、RT-PCRで確認されたインフルエンザ発病率は、RIV4群2.2%(96/4,303例)、IIV4群3.2%(138/4,301例)であり、インフルエンザ様疾患が確認された確率は、RIV4群がIIV4群よりも30%低かった(95%信頼区間[CI]:10~47、p=0.006)。
修正intention-to-treat集団で行った有効性の事後解析では、RIV4群の発病率2.2%(96/4,427例)およびIIV4群の発病率3.1%(138/4,428例)は、相対的なワクチンの有効性が基本的に同一の30%(95%CI:10~47)であることが示された。なお、RIV4のIIV4に対する非劣性に関する主要解析、および事前規定の探索的優越性の基準は満たされたことが確認されている。
RT-PCRで確認されたインフルエンザ様疾患の累積発生率は、インフルエンザシーズン中、RIV4がIIV4よりも有意に効果があることを示した(ハザード比[HR]:0.69、95%CI:0.53~0.90、p=0.006)。各インフルエンザ株についての相対的なワクチンの有効性に関する事後解析では、RIV4はA型に対しては36%(95%CI:14~53)の有効性を示したが、B型に対しては他のワクチンと有効性に違いがなかった。
安全性プロファイルについては、両ワクチンともに類似していた。
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遺伝子組み換えインフルエンザワクチンの有効性(解説:小金丸 博 氏)-712
コメンテーター : 小金丸 博( こがねまる ひろし ) 氏
東京都健康長寿医療センター 感染症内科専門部長
J-CLEAR推薦コメンテーター