PAP療法は、睡眠時無呼吸症の心血管リスクを改善したのか/JAMA

睡眠時無呼吸に対する陽圧呼吸(PAP)療法は、無治療あるいは偽治療(sham)と比較し、心血管イベントや死亡のリスクを低減しないことを、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のJie Yu氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果として報告した。睡眠時無呼吸(閉塞性および中枢性)は、有害な心血管リスク因子と関連しており、心血管疾患のリスクを増加させることが観察研究で示されている。PAP療法は、持続陽圧呼吸(CPAP)と適応補助換気(ASV)のどちらでも睡眠時無呼吸の症状を緩和するが、心血管転帰および死亡との関連性はこれまで不明であった。JAMA誌2017年7月11日号掲載の報告。
約7,200例を含む無作為化試験10件のシステマティックレビューとメタ解析を実施
研究グループは、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Libraryを用い、2017年3月までに発表された睡眠時無呼吸に関する無作為化試験(主要有害心血管イベントまたは死亡の報告を含む)を検索した。研究者2人が独立してデータを抽出し、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行い、要約相対リスク比(RR)、リスク差(RD)および95%信頼区間(CI)を算出した。主要評価項目は、急性冠症候群(ACS)イベント・脳卒中・血管死の複合(主要有害心血管イベント)、個々の血管イベント、および死亡であった。
解析には、10件(CPAP:9件、ASV:1件)の臨床試験が組み込まれた(合計7,266例、平均年齢60.9歳[範囲:51.5~71.1]、男性5,847例[80.5%]、平均BMI:30.0[SD 5.2])。
PAP療法は、主要有害心血管イベントおよび死亡と有意な関連なし
主要有害心血管イベントは356件、死亡は613件報告された。PAP療法は、主要有害心血管イベント(RR:0.77[95%CI:0.53~1.13、p=0.19]、RD:-0.01[95%CI:-0.03~0.01、p=0.23])、心血管死(RR:1.15[95%CI:0.88~1.50、p=0.30]、RD:-0.00[95%CI:-0.02~0.02、p=0.87])、全死因死亡(RR:1.13[95%CI:0.99~1.29、p=0.08]、RD:0.00[95%CI:-0.01~0.01、p=0.51])のいずれとも有意な関連はなかった。同様に、PAP療法とACS、脳卒中および心不全との関連も認められなかった。CPAPとASVで関連性に差はなく(均一性のp>0.24)、メタ回帰解析において無呼吸の重症度、追跡期間あるいはPAPのアドヒアランスの違いによる転帰とPAP療法との関連はないことが確認された(すべてのp>0.13)。
著者は、「睡眠時無呼吸に対するPAP療法のベネフィットはほかにあるものの、今回の結果は、心血管イベントや死亡の予防を目的としたPAP療法は支持されないことを示している」とまとめている。
(医学ライター 吉尾 幸恵)
原著論文はこちら
Yu J, et al. JAMA. 2017;318:156-166.
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コメンテーター : 香坂 俊( こうさか しゅん ) 氏
慶應義塾大学 循環器内科 准教授
J-CLEAR評議員