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手術後アウトカムに執刀医の性差はあるのか/BMJ

患者、外科医、病院の特性で調整後、男性外科医の執刀を受けた患者と比べて女性外科医の執刀を受けた患者のほうが、30日以内の死亡がわずかだが有意に少なく、手術アウトカム(入院期間、合併症、再入院率)は同等であることが、カナダ・トロント大学のChristopher JD Wallis氏らが行った住民ベース適合コホート研究の結果で示された。ただし著者は、「今回示された結果は、臨床における男女どちらかの外科医の優先的な選択を支持するものではない」とし、「伝統的に男性優位の職業における、性の同等性と多様性を支持するという点で、重要な意味のある所見であった」と述べている。BMJ誌2017年10月10日号掲載の報告。
術後の死亡・再入院・合併症の複合アウトカムを比較
研究グループは、2007~15年にカナダのオンタリオ州で治療を受けた全患者を対象に、25の一般的な外科手術を受けた患者の術後アウトカムについて、執刀医の性差の影響を調べた。検討では女性外科医と男性外科医の執刀を受けた各患者群について、患者の年齢・性別・併存疾患、外科医の技量(前年の指標手術件数で4分位区分)と年齢および病院特性についてマッチングを行った。主要アウトカムは、死亡・再入院・合併症の複合とし、一般化推定方程式を用いて群間を比較した。
女性外科医の執刀を受けた患者群、30日以内の死亡が有意に少ない傾向
対象期間中に患者10万4,630例が、外科医3,314例(女性外科医774例、男性外科医2,540例)による手術を受けていた。マッチング前、女性外科医の執刀を受けた患者は、女性、若者が多い傾向がみられたが、併存疾患、所得、病院所在地(都市部または地方)、手術を受けた年についての差はなかった。マッチング後では、両群は類似していた。分析の結果、30日以内の死亡・再入院・合併症を呈した患者の割合は、女性外科医の執刀を受けた患者群(5,810/5万2,315例、11.1%[95%信頼区間[CI]:10.9~11.4])が、男性外科医の執刀を受けた患者群(6,046/5万2,315例、11.6%[同:11.3~11.8])よりも有意に少なかった(補正後オッズ比[OR]:0.96、0.92~0.99、p=0.02)。
とくに女性外科医の執刀を受けた患者群では、30日以内の死亡が有意に少ない傾向がみられた(補正後OR:0.88、0.79~0.99、p=0.04)。再入院、合併症について有意差はみられなかった。
患者、外科医、病院の特性による層別解析では、アウトカムへの外科医の性差の影響はみられなかった。また、後ろ向き解析において、緊急手術(通常、患者は執刀医を選択しない)を受けた患者のアウトカムについて、外科医の性差による違いはみられなかった。
結果を踏まえて著者は、異なる方法での独立コホートでさらなる研究を行う必要があること、さらに、すべての患者の死亡率、合併症、再入院率を改善するため、手術アウトカムと医師およびその根底にあるケアのプロセスやパターンと関連したメカニズムを調べる必要があると指摘している。
(ケアネット)
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