急性虚血性脳卒中で、症状が現れてから6~24時間が経過しているが臨床的障害と梗塞体積の重症度が一致しない患者については、標準的治療だけでなく、血栓除去術を合わせて行ったほうが90日後の障害アウトカムが良好であることが明らかにされた。米国・エモリー大学のR.G.Nogueira氏らが、206例を対象に行った無作為化試験で示された。虚血性脳卒中発症後6時間超の血栓除去術については、これまでそのベネフィットは明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版11月11日号掲載の報告。
90日後の質調整mRSを比較
研究グループは2014年9月~2017年2月にかけて、急性虚血性脳卒中を発症し、頭蓋内内頸動脈または中大脳動脈近位部に閉塞があり、6~24時間前には症状がなかった、臨床的障害と梗塞体積の間の重症度にミスマッチが認められた患者206例を登録して試験を行った。ミスマッチの基準は年齢(80歳未満または80歳以上)で定義した。
被験者を無作為に2群に割り付けて、一方には血栓除去術と標準的治療を(血栓除去群107例)、もう一方には標準的治療のみを行った(対照群99例)。
主要エンドポイントは、90日時点における有用性加重mRS:modified Rankin Scale(範囲:0[死亡]~10[症状または障害なし])での平均障害スコアと、mRSで定義した機能的自立(スコア0/1/2、スコア範囲は0~6で高得点ほど障害が重度であることを示す)の患者割合との複合だった。
平均障害スコア、機能的自立患者の割合ともに血栓除去群で良好
試験は開始後31ヵ月で、事前規定した中間解析の結果に基づき中止となった。
90日時点における有用性加重mRSによる平均障害スコアは、対照群3.4だったのに対し、血栓除去群は5.5と有意に高かった(ベイズ解析による補正後群間差:2.0ポイント、95%確信区間[credible interval]:1.1~3.0、優越性事後確率>0.999)。90日時点の機能的自立患者の割合も、対照群13%に対し、血栓除去群は49%と高率だった(同:33ポイント、同:24~44、同>0.999)。
一方、頭蓋内出血の発症率は、対照群3%に対し血栓除去群は6%で有意な差はなかった(p=0.50)。90日死亡率も、それぞれ18%、19%で有意な差はなかった(p=1.00)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)