EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ、1次治療適応は申請中)は現行標準治療薬のEGFR-TKIに比べ、有効性において優越性を示し、安全性プロファイルは同等で、重篤有害事象の発生頻度は有意に低いことが示された。フランス・パリ第11大学のJean-Charles Soria氏らが行った第III相無作為化二重盲検試験「FLAURA試験」の結果で、NEJM誌オンライン版2017年11月18日号で発表された。オシメルチニブは第3世代の経口不可逆的EGFR阻害薬で、EGFR-TKI感受性変異およびEGFR T790M耐性変異の両方を選択的に阻害する。
オシメルチニブ vs.ゲフィチニブまたはエルロチニブを比較
FLAURA試験は、2014年12月~2016年3月に29ヵ国132施設で行われた。未治療の
EGFR変異陽性NSCLC患者(エキソン19欠損変異、L858R変異)556例を無作為に2群に分け、一方にはオシメルチニブ(80mg/日、279例)を、もう一方には標準EGFR-TKI(ゲフィチニブ250mg/日またはエルロチニブ150mg/日、277例)を投与し比較検討した。
主要エンドポイントは、研究者評価による無増悪生存期間(PFS)だった。
PFSはオシメルチニブ群18.9ヵ月、標準EGFR-TKI群10.2ヵ月
PFS中央値は、標準EGFR-TKI群10.2ヵ月に対し、オシメルチニブ群18.9ヵ月と有意に延長した(病勢進行または死亡に関するハザード比[HR]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.37~0.57、p<0.001)。
客観的奏効率は、標準EGFR-TKI群76%に対しオシメルチニブ群80%と両群で同等だったが(オッズ比[OR]:1.27、95%CI:0.85~1.90、p=0.24)、奏効期間中央値が標準EGFR-TKI群8.5ヵ月(95%CI:7.3~9.8)に対し、オシメルチニブ群は17.2ヵ月(同:13.8~22.0)と長かった。
中間解析の時点において全生存(OS)に関するデータは未成熟だったが(成熟度25%)、18ヵ月時点の生存率は、標準EGFR-TKI群71%(95%CI:65~76)に対し、オシメルチニブ群は83%(95%CI:78~87)であった(死亡に関するハザード比:0.63、95%CI:0.45~0.88、p=0.007[中間解析は有意差なし])。
Grade3以上の有害事象は、標準EGFR-TKI群(45%)よりもオシメルチニブ群(34%)で発現頻度が低かった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)