抗血小板薬3剤併用、脳梗塞急性期への有効性は/Lancet

虚血性脳卒中(脳梗塞)や一過性脳虚血発作(TIA)の急性期患者における抗血小板薬3剤併用療法は、再発とその重症度を減少させることはなく、大出血リスクは有意に増大することを、英国・ノッティンガム大学のPhilip M Bath氏らが、無作為化非盲検第III相優越性試験「TARDIS試験」の結果、報告した。これまでの検討で、脳梗塞急性期の2次予防として抗血小板薬2剤併用療法は単剤療法より優れていることが示唆されている。3剤併用療法はそれらガイドラインで推奨されている抗血小板療法より有効である可能性があったが、結果を踏まえて著者は、「抗血小板薬3剤併用療法は、日常診療で使用されるべきではない」とまとめている。Lancetオンライン版2017年12月20日号掲載の報告。
アスピリン+クロピドグレル+ジピリダモール vs.標準療法で検討
TARDIS(Triple Antiplatelets for Reducing Dependency after Ischaemic Stroke)試験は、4ヵ国(デンマーク、ニュージーランド、ジョージア、イギリス)の106施設にて実施された。対象は、発症後48時間以内の脳梗塞またはTIAの成人患者で、抗血小板薬3剤併用療法群(アスピリン[初日300mg、以降50~150mg/日、通常75mg/日]+クロピドグレル[初日300mg、以降75mg/日]+ジピリダモール[徐放製剤200mgを1日2回、または通常製剤100mgを1日3~4回]と、標準療法群(ガイドラインに基づいた治療:クロピドグレル単剤またはアスピリン+ジピリダモール2剤併用療法、各薬剤の用法用量は3剤併用療法群と同じ)に、コンピュータを用い1対1の割合で無作為に割り付けた。
割り付けは、国およびイベント(脳梗塞、TIA)で層別化するとともに、ベースラインの予後因子(年齢、性別、発症前の機能、収縮期血圧、病型)、薬剤使用歴、無作為化までの時間、脳卒中関連因子、血栓溶解で最小化した。
主要有効性アウトカムは、90日以内の脳卒中(虚血性または出血性、修正Rankin Scale[mRS]で評価)またはTIAの再発とその重症度で、電話による追跡調査によって評価された(評価者盲検化)。解析はintention–to-treatにて行われた。
3剤併用療法で再発は減少せず、出血リスクは増加
2009年4月7日~2016年3月18日の期間に、3,096例が無作為化された(3剤併用療法群1,556例、標準療法群1,540例)。本試験は、データ監視委員会の勧告により早期中止となった。脳卒中/TIAの再発は、3剤併用療法群93例(6%)、標準療法群で105例(7%)に発生し、両群で有意差は認められなかった(補正後共通オッズ比[cOR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.67~1.20、p=0.47)。一方で、3剤併用療法は、より重度の出血と関連していた(補正後cOR:2.54、95%CI:2.05~3.16、p<0.0001)。
なお、著者は研究の限界として、幅広い患者層で検証していること、非盲検下で抗血小板薬が投与されていること、早期中止となり検出力が低いことなどを挙げている。
(医学ライター 吉尾 幸恵)
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脳梗塞急性期患者に抗血小板薬の3剤併用療法は、有効性と安全性の両面から推奨できない(解説:内山真一郎氏)-803
コメンテーター : 内山 真一郎( うちやま しんいちろう ) 氏
国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授
赤坂山王メディカルセンター脳神経内科部長
J-CLEAR評議員