NGM282が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)において、容認できる安全性プロファイルで肝脂質を迅速かつ有意に減少したことが報告された。英国・オックスフォード大学のStephen A. Harrison氏らによる第II相試験の結果で、Lancet誌オンライン版2018年3月5日号で発表された。NGM282は、胆汁酸合成とブドウ糖恒常性を調節する内分泌消化管ホルモンFGF19の、非腫瘍形成性異型として開発された組み換えタンパク質である。NASHには現状、米国FDA承認の治療は存在しないが、今回の結果を踏まえて著者は、「NGM282のNASH治療の安全性と有効性についてさらなる探索を支持するものであった」としている。
第II相試験で肝脂肪分の絶対変化について検討
試験は2015年7月14日~2016年8月30日に多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照にて、オーストラリアと米国の、病院および消化器/肝クリニック18ヵ所で、生検によりNASHと確認された18~75歳の患者を集めて行われた。NASHの定義は、臨床研究ネットワークの組織学的評価法に準拠。主な適格基準は、疾患活動度がスコア4以上、線維化ステージ1~3、肝脂肪分8%以上であった。
被験者は、ウェブベースシステムを介して1対1対1の割合で無作為に、3mgまたは6mgのNGM282皮下投与を受ける群とプラセボ群に割り付けられた。糖尿病の状態による層別化も行われた。
主要エンドポイントは、ベースラインから12週時点までの、肝脂肪分の絶対変化。奏効者の定義は、MRI-PDFF(proton density fat fraction)測定で、肝脂肪分の5%以上の減少を達成したことが認められた患者とし、intention to treat法にて有効性を解析した。
3mg、6mg投与群ともにプラセボと比較し、12週で5%以上の減少を有意に達成
166例がスクリーニングを受け、82例が無作為化を受けた(3mg群27例、6mg群28例、プラセボ群27例)。
12週時点で、3mg群20例(74%)、6mg群22例(76%)が、奏効者の定義を満たした。プラセボ群は2例(7%)で、相対リスク(RR)は、3mg群 vs.プラセボ群が10.0(95%信頼区間[CI]:2.6~38.7)、6mg群 vs.プラセボ群は11.4(同:3.0~43.8)であった(両比較ともp<0.0001)。
全体で、76/82例(93%)が少なくとも1つの有害事象を経験したが、Grade1の有害事象が最も多く(55例[67%])、Grade3以上はわずか5例(6%)であった。最も多かった有害事象は、注射部位反応(28例[34%])、下痢(27例[33%])、腹痛(15例[18%])、悪心(14例[17%])。また発生頻度は、プラセボ群よりもNGM282投与群で高かった。
(ケアネット)