再発または難治性(R/R)慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、venetoclax+リツキシマブ併用療法は、ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法より無増悪生存率が有意に高率であることが示された。オーストラリア・メルボルン大学のJohn F. Seymour氏らが、多施設共同無作為化非盲検第III相試験「MURANO試験」の結果を報告した。venetoclaxは、CLLで過剰発現し、CLL細胞の生存に重要な役割を持つ抗アポトーシス蛋白のB細胞リンパ腫-2(BCL-2)を阻害する経口薬で、venetoclax+リツキシマブ併用療法は、忍容性が良好でvenetoclax単独療法よりも有効性が期待できることが示唆されていた。NEJM誌2018年3月22日号掲載の報告。
venetoclaxまたはベンダムスチンとリツキシマブとの併用療法を比較
MURANO試験は、2014年3月31日~2015年9月23日の期間で、20ヵ国109施設で実施された。対象は1~3レジメンの治療歴があるR/R CLL患者389例で、venetoclax+リツキシマブ群(venetoclaxを最長2年間、リツキシマブを最初の6ヵ月間投与)と、ベンダムスチン+リツキシマブ群(ベンダムスチンとリツキシマブを6ヵ月間投与)に無作為に割り付けた。ベンダムスチン+リツキシマブ群で病勢進行した場合、venetoclax+リツキシマブ群へのクロスオーバーは行わなかった。
主要評価項目は、治験担当医師の評価による無増悪生存期間(PFS)とし、有効性はintention-to-treat集団で解析した。
venetoclax+リツキシマブ群で無増悪生存期間が延長
追跡期間中央値23.8ヵ月において、治験担当医師の評価によるPFS中央値は、venetoclax+リツキシマブ群未到達(進行/死亡は32/194例)、ベンダムスチン+リツキシマブ群17.0ヵ月(同114/195例)と、venetoclax+リツキシマブ群で有意に延長した。2年無増悪生存率は、それぞれ84.9%および36.3%であった(進行/死亡のハザード比[HR]:0.17、95%信頼区間[CI]:0.11~0.25、層別log-rank検定のp<0.001)。
サブグループ解析の結果、染色体17p欠失患者を含むすべての臨床的および生物学的サブグループにおいて、一貫したPFSの改善が認められた。染色体17p欠失患者の2年無増悪生存率は、venetoclax+リツキシマブ群で81.5%、ベンダムスチン+リツキシマブ群で27.8%(HR:0.13、95%CI:0.05~0.29)、非染色体17p欠失患者でそれぞれ85.9% vs.41.0%であった(HR:0.19、95%CI:0.12~0.32)。
venetoclax+リツキシマブのベンダムスチン+リツキシマブに対する有効性は、独立評価委員会の評価によるPFSおよび他の副次有効性評価項目の結果によっても確認された。
Grade3/4の好中球減少症の発現率は、venetoclax+リツキシマブ群がベンダムスチン+リツキシマブ群より高値であったが、Grade3/4の発熱性好中球減少症および感染症/寄生虫感染症の発現率は、venetoclax+リツキシマブ群が低値であった。venetoclax+リツキシマブ群におけるGrade3/4の腫瘍崩壊症候群の発現率は3.1%(6/194例)であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)