心房細動の発症、リスク1つでも明らかに上昇/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2018/05/18

 

 心房細動の生涯リスクは、指標年齢(55歳、65歳および75歳)にかかわらず、リスク因子を有していない場合で約5分の1、1つ以上のリスク因子があると約3分の1強に上昇することが、米国・ボストン大学のLaila Staerk氏らによるフラミンガム心臓研究を基にした解析の結果、明らかにされた。これまで、心房細動の生涯リスクは40歳以上で約4分の1と推定されてきた。心房細動の短期的なリスク因子は確立されているが、リスク因子の負荷が心房細動の生涯リスクにどれほど影響するかは不明であった。結果を踏まえて著者は、「心房細動の疾病負担を減らす予防的な取り組みは、修正可能な境界域および明らかなリスク因子を目標とし、複数の併存疾患を考慮すべきであろう」と述べている。BMJ誌2018年4月26日号掲載の報告。

55歳、65歳、75歳時点での心房細動生涯リスクを推定
 研究グループは、指標年齢55歳、65歳および75歳時に心房細動が認められなかったフラミンガム心臓研究の登録例を解析対象とした。

 指標年齢時のリスク因子(喫煙、飲酒、BMI、血圧、糖尿病、心不全または心筋梗塞の既往)のプロファイルから、至適リスク(全リスク因子が至適:喫煙未経験、飲酒は男性で週14単位以下、女性で7単位以下、BMI 25未満、収縮期血圧120mmHg未満/拡張期血圧80mmHg未満、空腹時血糖値100mg/dL未満または随時血糖値140mg/dL未満、心不全または心筋梗塞の既往歴なし)、境界リスク(境界域のリスク因子はあるが、それ以外は至適)、および高リスク(明らかなリスク因子が1つ以上ある)の3群に分類し、指標年齢別に心房細動以外の死亡の主な原因を調整した指標年齢時から95歳時までの心房細動の生涯リスクを算出した。

年齢を問わず、高リスク群が至適リスク群よりも一貫して高値
 指標年齢55歳群の解析対象は5,338例(男性2,531例、47.4%)で、このうち247例(4.6%)は至適リスク、1,415例(26.5%)が境界リスク、3,676例(68.9%)が高リスクであった。高リスクの割合は、指標年齢の上昇に伴い徐々に増加した。

 指標年齢55歳において、心房細動の生涯リスクは37.0%(95%信頼区間[CI]:34.3~39.6%)であった。リスクカテゴリー別では、至適リスク群で23.4%(95%CI:12.8~34.5%)、境界リスク群で33.4%(95%CI:27.9~38.9%)、高リスク群で38.4%(95%CI:35.5~41.4%)であった。明らかなリスク因子を1つ以上有している場合、心房細動の生涯リスクは少なくとも37.8%であった。

 指標年齢65歳群および75歳群においても、リスク因子の負荷と心房細動の生涯リスクとの関連に同様の傾向が確認された。指標年齢65歳群(4,805例)では、心房細動の生涯リスクは全体33.7%、至適リスク群18.1%、境界リスク群26.1%、高リスク群35.8%で、75歳群(3,199例)ではそれぞれ30.8%、15.4%、23.6%、32.2%であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)