軽度虚血性脳卒中またはハイリスク一過性脳虚血発作(TIA)患者に対し、クロピドグレル+アスピリン投与はアスピリン単独投与に比べ、90日主要虚血イベントリスクを低下するが、一方で重大出血リスクを増大することが示された。米国・テキサス大学のS. Claiborne Johnston氏らが、10ヵ国、約5,000例の患者を対象に行った無作為化比較試験で明らかにした。クロピドグレル+アスピリンの抗血小板薬2剤併用療法は、軽度虚血性脳卒中またはTIA発症後3ヵ月間の脳卒中再発を抑制する可能性が示唆されていた。実際に、中国人を対象とした試験では再発リスクの低下が示されたが、研究グループは、国際的な検討で同療法の有効性を調べた。NEJM誌オンライン版2018年5月16日号掲載の報告。
10ヵ国、269の医療機関で試験
研究グループは2010年5月28日~2017年12月19日に、10ヵ国、269ヵ所の医療機関を通じて、軽度虚血性脳卒中またはハイリスクTIA患者4,881例を対象に、無作為化比較試験を実施した。
被検者を無作為に2群に分け、クロピドグレル(初日投与量600mg、その後75mg/日)+アスピリン(50~325mg/日)、またはアスピリン(同用量)のみを、それぞれ投与した。
有効性に関する主要評価項目は、90日後の、虚血性脳卒中・心筋梗塞・虚血性血管イベントで定義した主要虚血イベントの複合だった。
予定被験者数84%時点で、重大出血リスク増大により試験中止
試験は予定した被験者数が84%に達した時点で、安全性モニタリング委員会が、クロピドグレル+アスピリン群がアスピリン単独群に比べ、90日時点での主要虚血イベントリスクを低下するものの、重大出血リスクは増大すると判断し、早期に中止・終了となった。
主要虚血イベントの発生は、アスピリン単独群で2,449例中160例(6.5%)だったのに対し、クロピドグレル+アスピリン群では2,432例中121例(5.0%)と有意に低下した(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.59~0.95、p=0.02)。また、大半のイベントが、初回イベントから1週間以内の発生だった。
一方、重大出血の発生は、アスピリン単独群10例(0.4%)に対し、クロピドグレル+アスピリン群は23例(0.9%)で認められた(HR:2.32、95%CI:1.10~4.87、p=0.02)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)