米国・オクラホマ大学健康科学センターのJessica A. Reese氏らが、妊婦約7,400例の血小板数を解析した結果、調査したすべての妊婦において、妊娠経過中に平均血小板数は減少し、この減少は妊娠初期(妊娠0~13週)に始まっていたが、妊娠関連合併症を有する妊婦でさえ重度の血小板減少はまれであることが明らかになったという。著者は、「血小板数が10万/mm3未満の妊婦では、妊娠または妊娠合併症以外の原因を調べなければならない」と提言している。合併症のない妊婦で血小板数が15万/mm3未満の場合、他の原因が確認されなければ妊娠性血小板減少症とされ、妊娠中毒症などの妊娠関連合併症を有する妊婦では、血小板数がさらに低下する可能性があるが、妊娠中の血小板減少症の発現頻度や重症度については明らかになっていなかった。NEJM誌2018年7月5日号掲載の報告。
妊婦約7,400例について妊娠中の血小板数の推移を調査
研究グループは、2011~14年にオクラホマ大学医療センターで出産した女性を対象に、妊娠経過中の血小板数を評価した。また、これら妊婦の血小板数を、1999~2012年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した非妊娠女性と比較した。
研究期間中の出産は計1万5,723件で、このうち7,351例の妊婦が解析対象となった。4,568例は合併症がなく、2,586例は妊娠関連合併症を有し、197例は血小板減少症に関連する疾患の既往歴があった。
妊娠初期から血小板数は減少、ただし10万/mm3未満はまれ
合併症のない妊婦において、妊娠初期(平均妊娠8.7週)の平均血小板数は25.1万/mm
3であり、非妊娠女性(8,885例、平均血小板数27.3万/mm
3)より低かった(p<0.001)。出産時には、合併症のない妊婦の9.9%が15万/mm
3未満で、合併症のない妊娠・出産の経過中に血小板数が10万/mm
3未満になった妊婦は、わずか45例(1.0%)であった。
血小板数が8万/mm
3未満の合併症のない妊婦12例のうち、カルテの再調査で血小板減少の他の原因がないと確認されたのは5例(0.1%、血小板数:範囲6.2万~7.8万/mm
3、中央値6.5万/mm
3)のみであった。
出産時の血小板数が15万/mm
3未満だったのは、妊娠関連合併症のある妊婦が、合併症のない妊婦よりも多かった(11.9% vs.9.9%、p=0.01)。妊娠関連合併症のある妊婦において、妊娠・出産の経過中に血小板数が10万/mm
3未満となったのは59例(2.3%)で、31例(1.2%)が8万/mm
3未満であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)