ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、悪性黒色腫患者の未治療の脳転移に対して臨床的に意義のある有効性を示し、頭蓋外での効果と一致した。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのHussein A. Tawbi氏らが、CheckMate-204試験の結果を報告した。脳転移は、転移を有する悪性黒色腫患者の神経合併症および死亡の原因として多いものの、転移を有する悪性黒色腫患者を対象としたニボルマブ+イピリムマブ併用療法のこれまでの臨床試験では、未治療の脳転移患者は除外されていた。NEJM誌2018年8月23日号掲載の報告。
神経症状のない未治療脳転移を有する悪性黒色腫患者が対象
研究グループは、未治療の脳転移を有する悪性黒色腫患者における、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有効性および安全性を評価する目的で、米国の28施設で多施設共同非盲検第II相臨床試験を実施した。対象は、神経症状がなく、1つ以上の測定可能な放射線未照射の脳転移病変(腫瘍径0.5~3cm)のある、転移を有する悪性黒色腫患者である。ニボルマブ(1mg/kg)+イピリムマブ(3mg/kg)を3週間ごとに最高4回まで投与し、続いてニボルマブ(3mg/kg)を2週間ごとに疾患進行または忍容できない毒性がみられるまで投与した。
主要評価項目は、頭蓋内の臨床的有効率(6ヵ月以上の安定、完全奏効または部分奏効が得られた患者の割合)である。
2015年2月~2017年6月に患者登録が行われ、2017年11月15日時点で治療中の101例のうち、追跡期間が6ヵ月以上の94例を解析対象とした。
ニボルマブ+イピリムマブで、26%は頭蓋内病変が消失、臨床的有効率は57%
追跡期間中央値14.0ヵ月において、頭蓋内の臨床的有効率は57%(54/94例)(95%信頼区間[CI]:47~68)であった。このうち、頭蓋内の完全奏効が26%(24/94例)、部分奏効が30%(28/94例)、6ヵ月以上の安定が2%(2/94例)であった。頭蓋外の臨床的有効率は56%(53/94例)(95%CI:46~67)であり、頭蓋内の臨床的有効率と同程度であった。
Grade3/4の治療関連有害事象発現率は55%(52/94例)で、Grade3/4の中枢神経系有害事象は7%(7/94例)にみられた。また、免疫関連心筋炎による死亡が1例認められた。安全性プロファイルは、脳転移がない悪性黒色腫患者における報告と類似していた。
(ケアネット)