高血圧の発症、黒人成人でなぜ多い?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2018/10/15

 

 米国・アラバマ州立大学のGeorge Howard氏らは、白人成人との比較による黒人成人の高血圧症の過剰リスクについて臨床的および社会的要因との関連を調べた。媒介分析法を用いた検討の結果、男女ともに統計的な人種間の差を媒介しているキー要因は、南部型の食事スコア、食事におけるナトリウム値のカリウム値に対する比率、そして教育レベルであることが示されたという。また女性においては、腹囲とBMI値も主要因であった。米国の黒人集団は、高血圧症の有病率の高さが平均余命に格差をもたらす主因となっている。一方で、なぜ黒人成人で高血圧症の発症率が高いのかは明らかにされていなかった。JAMA誌2018年10月2日号掲載の報告。

白人成人との比較で、発症の高リスクと関連する潜在的要因を評価
 研究グループは、黒人成人における高血圧症発症の高リスクと関連する潜在的要因を評価する前向きコホート研究を行った。2003~07年に行われた縦断コホート研究に参加した45歳以上の黒人および白人成人3万239例のうち、ベースラインで高血圧症を有しておらず、中央値9.4年後のフォローアップ受診の参加者を対象とした。

 12の臨床的・社会的要因(揚げ物類の摂取が多いなどの南部型の食事スコア[範囲:-4.5~8.2、高値ほど食事パターン順守率が高い])を用いて、フォローアップ受診時の高血圧症発症(収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上、または降圧薬の使用で定義)との関連を調べた。

南部型食事スコアが最も大きな要因
 被験者は6,897例(平均年齢62例[SD 8]、黒人成人26%、女性は55%)、そのうち高血圧症の発症は、黒人被験者46%、白人被験者33%で認められた。

 補正後南部型食事スコアは、黒人男性0.81(95%信頼区間[CI]:0.72~0.90)であったのに対し、白人男性は-0.26(-0.31~-0.21)であった。また、黒人女性0.27(0.20~0.33)に対し、白人女性は-0.57(-0.61~-0.54)であった。

 南部型食事スコアは、男女ともに高血圧症発症と有意な関連が認められた。男性のオッズ比(OR)は1SDにつき1.16(95%CI:1.06~1.27)、食事スコア25thパーセンタイルでの発症率32.4%、同75thパーセンタイルでは36.1%で絶対リスク差は3.7%(95%CI:1.4~6.2)。女性は、ORが1SDにつき1.17(95%CI:1.08~1.28)、食事スコア25thパーセンタイルでの発症率31.0%、同75thパーセンタイルでは34.8%で絶対リスク差は3.8%(95%CI:1.5~5.8)であった。

 南部型食事パターンは、高血圧症の発症についての差に関する最も大きな媒介要因で、黒人男性における過剰リスクの51.6%(95%CI:18.8~84.4)、黒人女性における過剰リスクの29.2%(13.4~44.9)を占めていた。

 また、黒人男性においては、食事におけるナトリウム/カリウム比の高さと教育レベル(高卒未満)も、それぞれ過剰リスクの12.3%に関与していた。

 黒人女性においては、BMI高値が過剰リスクの18.3%、大きい腹囲が15.2%、DASHダイエット非順守が11.2%、所得3万5,000ドル未満が9.3%、ナトリウム/カリウム比の高さが6.8%、高卒未満の教育レベル4.1%に関与していた。

(ケアネット)