1年で心筋梗塞のリスクが最も高い日/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2018/12/25

 

 スウェーデンでは、クリスマスや夏至の祝日(夏至祭[夏至とその前日]と呼ばれ、クリスマスを除くとスウェーデンで最も盛況な休日、St John's Dayとしても知られる)は心筋梗塞のリスクが高く、とくにクリスマスイブが高リスク(37%増)であり、高齢患者や糖尿病を合併する患者など脆弱な状態にある集団では、これらの期間が心筋梗塞の外的な引き金の役割を担う可能性があることが、スウェーデン・スコーネ大学病院のMoman A. Mohammad氏らが行ったSWEDEHEART試験で示された。西欧諸国では、心筋梗塞による心臓死や入院は、クリスマスや新年の休日にピークに達することが観察されている。また、心筋梗塞のリスクは、フットボールの優勝決定戦やハリケーン、株式市場の暴落とも関連する。そのため、感情的なストレスや身体活動、生活様式の変化に関連する因子が、短期的な引き金として作用することで、心筋梗塞の発症に影響を及ぼす可能性があると推測されている。BMJ誌2018年12月12日号(クリスマス特集号)掲載の報告。

休日やスポーツイベントとの関連を後ろ向きに解析
 研究グループは、心筋梗塞の引き金としての国民の休日、主要なスポーツイベントについて検討する後ろ向き観察研究を実施した(スウェーデン心肺財団などの助成による)。

 解析には、スウェーデンの全国冠動脈ケアユニットレジストリー(SWEDEHEART)のデータを用いた。1998~2013年の16年間に、28万3,014例が心筋梗塞で入院した。

 クリスマス/新年、復活祭、夏至の祝日の期間中に発症した心筋梗塞を同定した。同様に、国際サッカー連盟(FIFA)世界選手権、欧州サッカー連盟(UEFA)優勝決定戦、夏期および冬期オリンピック大会中に発症した心筋梗塞を同定した。

 休日は、その前後2週間をコントロール期間とし、スポーツイベントのコントロール期間は、競技会前後の1年の同じ時期とした。休日およびスポーツイベント期間中の発生率をコントロール期間と比較し、発生率比を算出した。

午前8時、月曜日が最も高リスク、イブは午後10時がピーク
 28万3,014例のうち9万5,176例がST上昇型心筋梗塞(STEMI)、18万7,838例は非ST上昇型MI(NSTEMI)であった。STEMI患者は非STEMI患者に比べ、平均年齢が4歳若く(69.1 vs.73.0歳)、男性が多く(66 vs.62%)、現喫煙者が多かった(26 vs.17%)。

 クリスマス/新年(発生率比:1.15、95%信頼区間[CI]:1.12~1.19、p<0.001)および夏至の祝日(1.12、1.07~1.18、p<0.001)の期間中は、心筋梗塞のリスクが有意に高かった。最もリスクが高い日は、クリスマスイブだった(1.37、1.29~1.46、p<0.001)。

 復活祭やスポーツイベントの期間中は、リスクの増加は認めなかった。夏期オリンピック期間中は、男性でリスクが増加する傾向がみられたが、多変量で補正すると有意な差はなかった。

 日内変動の解析では早朝のリスクが高く、午前8時が心筋梗塞発症のピークであり、とくにNSTEMI患者で高かった。なお、クリスマスイブのピークは、午後10時だった。また、週内変動の解析では、STEMI、NSTEMI患者とも、月曜日のリスクが顕著に高かった。

 クリスマス休暇および月曜日は、喫煙者を除くすべてのサブグループで心筋梗塞のリスクが高かった。また、糖尿病や冠動脈疾患の既往歴を有する75歳上の患者は、顕著にリスクが高かった。復活祭や夏至の祝日に、とくにリスクの高いサブグループは認めなかった。

 著者は、「この研究は、われわれの知る限り、よく知られたレジストリーに登録された、心電図やバイオマーカーで確認された心筋梗塞患者のデータを活用した最大規模の調査であり、今回の結果は管理データを用いて行われた既報と一致する」としている。

(医学ライター 菅野 守)