年々増える体重の大部分は、クリスマスなどの祝祭日の食べ過ぎに原因があるという。英国・バーミンガム大学のFrances Mason氏らWinter Weight Watch Studyの研究グループは、定期的な体重測定、体重管理に関する助言、お祝いの食事のカロリーの消費に要する身体活動量の情報から成る簡易行動介入により、クリスマス休暇中の体重増加を予防できることを示し、BMJ誌2018年12月10日号(クリスマス特集号)で報告した。英国など多くの国では、お祝いの季節が国民の休日と重なり、長期の過剰な摂食や座位行動の機会をもたらしており、クリスマス1日の摂取熱量は6,000カロリーと推奨の約3倍にも達するとの報告もある。これによる体重増加は、その後、完全には解消されず、わずかな体重の増加が毎年積み重なって10年で5~10kg増えることで、将来の肥満につながるとされる。
休暇中の体重増加の予防効果を評価する無作為化試験
本研究は、クリスマス休暇中の体重増加の予防における簡易行動介入の有効性を評価する二重盲検無作為化対照比較試験である(研究費の一部としてバーミンガム大学の助成を受けた)。
2016年および2017年のクリスマスの前に、職場やソーシャルメディアのプラットフォーム、学校で参加者の登録を行った。年齢18歳以上、BMI≧20の272例が登録され、簡易行動介入群に136例、介入を行わない対照群に136例が割り付けられた。ベースラインの評価は11~12月に行われ、4~8週間後の翌年1~2月の期間にフォローアップが実施された。
介入群は、(1)定期的に自己体重測定を行って記録し、その推移について考えることで食事や飲み物の制限を増やすよう努め、(2)クリスマス期間中の良好な体重管理戦略に関する情報と、(3)摂食したお祝いの食事について、身体活動量に相当するエネルギー消費量(PACE)に関する視覚的な情報が提供された。対照群には、健康な生活に関する小冊子が提供された。ベースラインの体重が、0.5kg以上増加しないことを目標とした。
主要アウトカムはフォローアップ時の体重とし、副次アウトカムは体重増加0.5kg以下、自己報告による体重測定の回数(週2回以上vs.2回未満)、体脂肪率、自発的食事制限、情動的摂食、自制不能な摂食であった。
体重測定回数、食事制限も良好
全体の平均年齢は43.9(SD 11.7)歳、女性が78%で、白人が78%を占めた。平均BMIは28.8、平均試験期間は45.3(SD 5.7)日だった。
平均体重変化量は、介入群が-0.13kg(95%信頼区間[CI]:-0.4~0.15)、対照群は0.37 kg(0.12~0.62)であり、体重の補正平均差(介入群-対照群)は-0.49kg(-0.85~-0.13)と、介入群で有意に良好であった(p=0.008)。
体重増加0.5kg以内の達成のオッズは介入群のほうが高かったが、有意差は認めなかった(オッズ比[OR]:1.22、95%CI:0.74~2.00、p=0.44)。週2回以上の体重測定のオッズは、介入群が有意に高かった(55.93、22.15~141.24)。体脂肪率の低下には両群間に有意な差はなかった(補正後平均差:-0.02、95%CI:-0.51~0.48、p=0.95)。
自発的食事制限(補正後平均差:0.64、95%CI:0.08~1.20、p=0.03)は介入群で有意に良好であったが、情動的摂食(-0.06、-0.43~0.30、p=0.73)および自制不能な摂食(-0.49、-1.25~0.26、p=0.20)は両群間に有意な差はみられなかった。
著者は、「休暇などの高リスクな時期における体重増加を防止するために、医療政策立案者はこれらの結果を考慮すべきだろう」としている。
(医学ライター 菅野 守)