免疫グロブリン療法(IVIG)不応例である川崎病患者に対し、シクロスポリンの併用は、安全かつ有効であることが確認された。東京女子医科大学 八千代医療センターの濱田 洋通氏らが、日本全国22ヵ所の病院を通じて行った、第III相非盲検無作為化エンドポイントブラインド試験「KAICA trial」の結果で、Lancet誌オンライン版2019年3月7日号で発表した。遺伝学的研究で、川崎病に関与する遺伝子変異が特定され、それらがIVIG不応例患者のリスクである冠動脈異常に関与するのではないかと考えられていた。研究グループはこの所見を踏まえて、川崎病の病態生理の基礎をなすカルシウム-活性化T細胞核内因子(NFAT)経路の上方制御が、有望な治療になりうると仮定し、シクロスポリン併用の有効性と安全性を評価する試験を実施した。
冠動脈異常を心エコーで中央判定
研究グループは2014年5月29日~2016年12月27日にかけて、日本全国22ヵ所の病院を通じ、IVIG抵抗性のリスクが高いと予測された川崎病患者(175例)を適格とし試験を行った。
被験者を無作為に2群に分け、一方にはIVIG+シクロスポリン(5mg/kgを5日間、併用群)を、もう一方にはIVIGのみを行った(単独群)。被験者について、リスクスコア、年齢、性別で階層化した。
主要エンドポイントは、試験期間である12週中の冠動脈異常発生率で、心エコー検査で日本の厚生労働省が定める基準に基づき中央にて判定した。分析対象としたのは、試験期間中に、試験薬を1回以上投与し、評価のために1回以上受診した患者だった。
併用群vs.単独群、冠動脈異常リスク比0.46
被験者のうち、1例は登録後に試験参加の同意を取り下げ、また1例は最終の心エコー検査結果が得られず分析から除外した。解析集団は、併用群86例、単独群87例。
12週中の冠動脈異常発生率は、単独群31%(27/87例)に対し、併用群は14%(12/86例)と有意に低かった(リスク比:0.46、95%信頼区間:0.25~0.86、p=0.010)。
有害事象の発生率は、群間で差は認められなかった(併用群9% vs.単独群7%、p=0.78)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)