直近に急性冠症候群(ACS)を発症または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けP2Y12阻害薬を投与される心房細動患者において、アピキサバン(商品名:エリキュース)を含む抗血栓療法(アスピリンは非併用)は、ビタミンK拮抗薬+アスピリン療法またはアスピリン単剤療法と比べて、出血および入院が減少し、虚血イベントの発生において有意差はみられないことが示された。米国・デューク大学のRenato D. Lopes氏らによる2×2要因デザイン法の国際多施設共同無作為化試験「AUGUSTUS試験」の結果で、NEJM誌オンライン版2019年3月17日号で発表された。ACS発症またはPCIを受けた心房細動患者に対し、適切とされる抗血栓療法は明確にはなっていない。
大出血または臨床的に重要な非大出血を主要アウトカムとして検証
試験では、ACS発症またはPCIが施行され、P2Y
12阻害薬服用が予定されている心房細動患者を、アピキサバンまたはビタミンK拮抗薬の投与を受ける群、およびアスピリンまたは適合プラセボの投与を受ける群に無作為化し6ヵ月間治療した。
主要アウトカムは、大出血または臨床的に重要な非大出血とした。副次アウトカムは、死亡、入院、および複合虚血イベントなどであった。
アピキサバンのビタミンK拮抗薬に対する主要アウトカムの発生ハザード比は0.69
33ヵ国から4,614例が登録された。主要または副次アウトカムに関して、2つの無作為化要因間に有意な相互作用はみられなかった。
大出血または臨床的に重要な非大出血の発生率は、アピキサバン群10.5%、ビタミンK拮抗薬群14.7%であった(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.58~0.81、非劣性および優越性ともにp<0.001)。アスピリン群は16.1%、プラセボ群は9.0%であった(HR:1.89、95%CI:1.59~2.24、p<0.001)。
アピキサバン群の患者はビタミンK拮抗薬群よりも、死亡および入院の発生率が低率であった(23.5% vs.27.4%、HR:0.83、95%CI:0.74~0.93、p=0.002)。虚血イベントの発生率は同程度であった。
なおアスピリン群の患者の死亡、入院および虚血イベントの発生率は、プラセボ群と同程度であった。
(ケアネット)