脳卒中リスクを有するAF患者へのアブレーションの有用性/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2019/04/12

 

 心房細動(AF)患者におけるカテーテルアブレーション戦略は、薬物療法と比較して主要評価項目(死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止の複合エンドポイント)に有意差は認められなかった。米国・メイヨー・クリニックのDouglas L. Packer氏らが、10ヵ国126施設で実施した医師主導型の多施設共同非盲検無作為化試験「The Catheter Ablation vs Antiarrhythmic Drug Therapy for Atrial Fibrillation trial:CABANA試験」の結果を報告した。ただし結果について著者は、「予想よりイベント発生率が低く治療のクロスオーバーが行われていることが、カテーテルアブレーションの治療効果に影響を与えている可能性があり、本試験結果の解釈には注意を要する」としている。カテーテルアブレーションは、AFを洞調律に戻すのに有効であるが、死亡や脳卒中のリスクに対する長期的な影響はわかっていなかった。JAMA誌2019年4月2日号掲載の報告。

AF患者約2,000例で死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止等の予後を比較
 研究グループは、2009年11月~2016年4月の期間に、65歳以上、または脳卒中の危険因子(高血圧、心不全、脳卒中の既往、糖尿病、他の心疾患)を1つ以上有する65歳未満のAF患者2,204例を登録し、カテーテルアブレーション群または薬物療法群に1対1の割合で無作為に割り付け、2017年12月31日まで追跡した。

 カテーテルアブレーション群では、肺静脈隔離術を実施するとともに、医師の裁量で補助的なアブレーションが追加された。薬物療法群では、ガイドラインに従い標準的なリズム/レートコントロール薬が投与された。

 主要評価項目は、死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止の複合エンドポイント(intention-to-treat解析)。副次評価項目は13項目あるが、今回は3項目(全死亡、全死亡または心血管入院、AF再発)について報告された。

主要評価項目に有意差なし、AF再発はカテーテルアブレーション群で有意に抑制
 2,204例の患者背景は、年齢中央値68歳、女性37.2%、発作性AF 42.9%、持続性AF 57.1%で、89.3%が試験を完遂した。カテーテルアブレーション群では90.8%(1,006/1,108例)が施術を受け、薬物療法群では27.5%(301/1,096例)がカテーテルアブレーションも受けた。

 追跡期間中央値48.5ヵ月において、主要評価項目の複合エンドポイントの発生率は、アブレーション群8.0%(89例)、薬物療法群9.2%(101例)で、有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.65~1.15、p=0.30)。

 副次評価項目については、アブレーション群vs.薬物療法群でそれぞれ、全死亡が5.2% vs.6.1%(HR:0.85、95%CI:0.60~1.21、p=0.38)、全死亡または心血管入院が51.7% vs.58.1%(HR:0.83、95%CI:0.74~0.93、p=0.001)、AF再発が49.9% vs.69.5%(HR:0.52、95%CI:0.45~0.60、p<0.001)であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 今井 靖( いまい やすし ) 氏

自治医科大学 臨床薬理学部門・循環器内科学部門 教授 附属病院 薬剤部長

J-CLEAR評議員