軽症持続型喘息、ICSもLAMAも対プラセボで有意差なし/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2019/05/31

 

 軽症持続型喘息患者の大多数は、喀痰中好酸球比率が低く、モメタゾン(吸入ステロイド)またはチオトロピウム(長時間作用性抗コリン薬)のいずれも反応性についてプラセボと有意差は認められないことが、米国・カリフォルニア大学のStephen C. Lazarus氏らによる、42週間の無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験「Steroids in Eosinophil Negative Asthma trial:SIENA試験」の結果、示された。軽症持続型喘息患者は、喀痰中の好酸球が2%未満と低値である場合がほとんどであり、このような患者に対する適切な治療法は明らかになっていなかった。結果を踏まえて著者は、「好酸球低値の患者において、吸入ステロイドと他の治療法を比較する臨床試験が必要であることが示唆される」と提言している。NEJM誌2019年5月23日号掲載の報告。

米国24施設、12歳以上295例を対象にプラセボ対照試験
 SIENA試験は、2014年7月~2018年3月に、米国・国立心肺血液研究所(NHLBI)のAsthmaNet consortiumに参加している24施設で実施された。対象は12歳以上の軽症持続型喘息患者295例で、喀痰中好酸球比率が<2%の好酸球低値群と≧2%の好酸球高値群に分け、どちらの群もモメタゾン、チオトロピウムおよびプラセボを投与順は無作為化して各12週間投与した。

 主要評価項目は、好酸球低値群において事前に定義した反応性(response)を認めた患者割合の治療間の差で、プラセボvs.モメタゾンまたはプラセボvs.チオトロピウムを比較した。反応性の定義は、治療失敗、喘息コントロール日数(レスキュー剤のアルブテロール未使用、喘息治療薬の非併用、症状なし、救急外来受診なし、ピーク・フローがベースライン時の80%以上の日数)および1秒量からなる階層的複合アウトカムとし、統計学的有意水準は両側p<0.025とした。副次評価項目として、好酸球低値群と高値群の反応性を比較した。

モメタゾンまたはチオトロピウムともに、vs.プラセボと有意差なし
 295例中221例(73%)が好酸球低値群であった。

 これら221例中、反応性が認められた患者割合は、プラセボvs.モメタゾンの比較では59%、プラセボvs.チオトロピウムの比較では60%であった。

 しかしながら、反応性を認めた患者割合に治療間での有意差は認められなかった。モメタゾンvs.プラセボの比較における反応性を認めた患者(59%)の内訳比率は、モメタゾン群57%(95%信頼区間[CI]:48~66)、プラセボ群43%(95%CI:34~52)であった(p=0.14)。チオトロピウムvs.プラセボの比較(60%)については、チオトロピウム群60%(95%CI:51~68)、プラセボ群40%(95%CI:32~49)であった(p=0.029)。

 一方、好酸球高値群で反応性に差がみられた患者における解析では、モメタゾンvs.プラセボの比較ではモメタゾンのほうが反応性を示した患者の割合がより高かったが(74% vs.26%)、チオトロピウムvs.プラセボの比較では差はなかった(57% vs.43%)。

(医学ライター 吉尾 幸恵)