HER2陽性早期乳がん、トラスツズマブ投与期間短縮で効果は?/Lancet

HER2陽性早期乳がんの治療において、トラスツズマブの6ヵ月投与は、12ヵ月投与に対し非劣性であることが、英国・ケンブリッジ大学のHelena M. Earl氏らが行った「PERSEPHONE試験」で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年6月6日号に掲載された。術後のトラスツズマブ治療は、HER2陽性早期乳がん患者のアウトカムを有意に改善する。標準的な投与期間は12ヵ月だが、より短い期間でも有効性はほぼ同様で、毒性は軽減し、費用は削減される可能性が示唆されている。
HER2陽性早期乳がん患者にトラスツズマブを6ヵ月または12ヵ月投与
PERSEPHONE試験は、英国の152施設が参加した非盲検無作為化第III相非劣性試験であり、2007年10月~2015年7月の期間に患者登録が行われた(英国国立衛生研究所[NIHR]の助成による)。対象は、年齢18歳以上、HER2陽性で、化学療法の明確な適応がある浸潤性早期乳がん患者であった。被験者は、化学療法との併用(同時または逐次投与)で、3週ごとにトラスツズマブを静脈内投与(負荷用量8mg/kgののち、維持用量6mg/kg)または皮下投与(600mg)され、これを6ヵ月間または12ヵ月間施行する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は無病生存期間とした。非劣性マージンは4年無病生存率の3%であった。
4年無病生存率:トラスツズマブ6ヵ月投与群89.4% vs. 12ヵ月投与群89.8%
HER2陽性早期乳がん患者4,088例が登録され、トラスツズマブ6ヵ月投与群に2,043例(年齢中央値56歳[範囲23~83])、トラスツズマブ12ヵ月投与群には2,045例(56歳[23~82])が割り付けられた。全体の69%がエストロゲン受容体陽性であった。術前化学療法を受けた620例では、89%がアンスラサイクリン系薬剤とタキサン系薬、9%がアンスラサイクリン系薬のみ、2%がタキサン系薬のみを投与され、術後化学療法を受けた3,468例では、それぞれ41%、47%、11%の投与であった。
フォローアップ期間中央値5.4年(IQR:3.6~6.7)の時点で、無病生存イベントはトラスツズマブ6ヵ月投与群が265例(13%)、12ヵ月投与群は247例(12%)に認められた。4年無病生存率は、それぞれ89.4%、89.8%で、ハザード比(HR)は1.07(90%信頼区間[CI]:0.93~1.24、非劣性のp=0.011)であり、6ヵ月投与群の非劣性が示された。
全生存率は、トラスツズマブ6ヵ月投与群が93.8%、12ヵ月投与群は94.8%であり、非劣性が確認された(HR:1.14、90%CI:0.95~1.37、非劣性のp=0.0010)。
トラスツズマブ6ヵ月投与群は、12ヵ月投与群に比べ重篤な有害事象(19%[373/1,939例] vs.24%[459/1,894例]、p=0.0002)が少なく、心毒性による早期治療中止(3%[61/1,939例] vs. 8%[146/1,894例]、p<0.0001)も少なかった。
著者は、「これらの結果は、再発リスクが本試験の患者と同程度の女性における、トラスツズマブ投与期間の短縮の検討を支持する」としている。
(医学ライター 菅野 守)
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トラスツズマブを用いた術後補助療法は6ヵ月間で十分か?‒PERSEPHONE試験の結果から(解説:岩瀬俊明氏)-1084
コメンテーター : 岩瀬 俊明( いわせ としあき ) 氏
千葉大学大学院医学研究院 臓器制御外科学教室
MD Anderson Cancer Center, Breast Medical Oncology, Postdoctoral fellow