高齢女性、1日4,400歩でも死亡率低下、強度は関連せず

提供元:ケアネット

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公開日:2019/06/05

 

 健康のためには1日1万歩を目標に歩くことが必要と一般的に考えられているが、この歩数は科学的根拠が少ない。また、1日当たりの歩数にかかわらず、歩行強度が強いほうが健康ベネフィットがあるのかどうかも不明である。今回、ハーバード大学医学大学院のI-Min Lee氏らの前向きコホート研究の結果、高齢女性において、約4,400歩/日という少ない歩数でも約2,700歩/日に比べ、全死亡率が41%低いことが示された。また、1日当たりの歩数の増加につれて全死亡率は減少するが、約7,500歩/日を超えると平坦化した。歩行強度については、1日の総歩数を考慮すると全死亡率低下との明らかな関連は認められなかった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2019年5月29日号に掲載。

 本研究は、米国のWomen's Health Studyにおいて、2011~15年に7日間、覚醒時間中に加速度計を装着することに同意した1万8,289人の米国人女性が参加した。1万7,708人が装着してデバイスを返却した(1万7,466デバイスからデータが正常にダウンロード)。そのうち、1日10時間以上、4日間以上装着していた1万6,741人のデータを用いて、1日当たり歩数および歩行強度の尺度(1分間ケイデンスピーク、30分間ケイデンスピーク、5分間ケイデンス最大、40歩/分以上での歩行時間)と全死亡率の関連を調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・選択基準を満たした1万6,741人の女性の平均年齢(SD)は72.0歳(5.7)であった。
・平均歩数は5,499歩/日で、歩行強度別の時間割合は、0歩/分が51.4%、1~39歩/分が45.5%、40歩/分以上(意図的な歩行)が3.1%であった。
・平均4.3年の追跡調査期間中に、504人が死亡した。
・各四分位における1日当たり歩数の中央値は、順に2,718、4,363、5,905、8,442であった。
・交絡因子を調整後、各四分位の全死亡率に関連したハザード比(HR)はそれぞれ、1.00(基準)、0.59(95%CI:0.47~0.75)、0.54(同:0.41~0.72)、0.42(同:0.30~0.60)であった(p<0.01)。
・スプライン解析では、1日当たり平均歩数が増えるにつれてHRが減少したが、約7,500歩/日以降は平坦になった。
・歩行強度については、強度が強いほど全死亡率が有意に低かったが、1日当たり歩数を調整後はすべての関連が減衰し、ほとんどが有意ではなくなった。

(ケアネット 金沢 浩子)