静脈瘤治療、5年後のQOLと費用対効果を比較/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2019/09/13

 

 静脈瘤治療5年後の疾患特異的QOLは、フォーム硬化療法に比べ血管内レーザー焼灼術あるいは手術のほうが良好であり、費用対効果の確率的モデルで1QALY獲得の支払い意思額(willingness-to-pay)の閾値を調べたところ、2万ポンド(2万8,433ドル)でレーザー焼灼術の支持する割合が最多となることが示されたという。英国・グラスゴー大学のJulie Brittenden氏らが、静脈瘤治療とQOLおよび費用対効果との関連を評価した多施設共同無作為化比較試験「Comparison of Laser, Surgery, and Foam Sclerotherapy trial:CLASS試験」の5年時における主要解析の結果を報告した。血管内レーザー焼灼術と超音波ガイド下フォーム硬化療法は、一次性静脈瘤の治療に対する外科手術の代替療法として推奨されてきたが、長期的な相対的有効性についてはこれまで不明であった。NEJM誌2019年9月5日号掲載の報告。

3つの治療法で5年後のQOLと費用対効果を比較
 研究グループは2008年11月~2012年10月に英国の11施設において、一次性静脈瘤患者798例を、レーザー焼灼術群、フォーム硬化療法群、手術群に無作為に割り付けアウトカムを比較した。

 5年時主要評価項目は、疾患特異的QOL、包括的QOL、および費用対効果であった。費用対効果は、患者の治療費と健康関連の包括的なQOL評価尺度(EuroQol:EQ-5D質問票)のデータを用いた予測費用と獲得質調整生存年(QALYs)のモデルに基づいた。

 5年時に、798例中595例(75%)からQOL質問票の回答を得た。

疾患特異的QOLは、レーザー焼灼術や手術のほうが良好
 ベースラインのスコアと他の共変量で補正後、5年時の下肢静脈瘤QOL評価尺度(Aberdeen Varicose Vein Questionnaire:AVVQ、範囲:0~100、スコアが低いほどQOLが良好)は、フォーム硬化療法群よりレーザー焼灼術群あるいは手術群で低かった。効果量(補正後群間差)は、レーザー焼灼術vs.フォーム硬化療法で-2.86(95%信頼区間[CI]:-4.49~-1.22、p<0.001)、手術vs.フォーム硬化療法で-2.60(95%CI:-3.99~-1.22、p<0.001)であった。

 包括的QOLについては、群間で有意差は確認されなかった。

 1QALY獲得についての支払い意思額の閾値が2万ポンド(2万8,433ドル)で、費用対効果モデル反復相の77.2%がレーザー焼灼術を支持することが示された。また、フォーム硬化療法と手術の2治療の比較においては、同じ2万ポンド(2万8,433ドル)の閾値で54.5%が手術を支持することが示された。

(医学ライター 吉尾 幸恵)