新たに診断された2型糖尿病患者において、ビルダグリプチン+メトホルミン併用療法による早期介入は、現在の標準初期治療であるメトホルミン単剤療法と比較し長期的ベネフィットがあることが認められた。英国・オックスフォード大学のDavid R. Matthews氏らが、34ヵ国254施設で実施された無作為化二重盲検比較試験「VERIFY試験」の結果を報告した。初期治療の強化は良好な血糖コントロールの維持につながり、糖尿病合併症の進展抑制に重要とされる。そうした機会が、初期治療として併用療法を導入することで、従来の段階的アプローチよりも多くなることが示唆されていたが、その効果については確定されていなかった。Lancet誌オンライン版2019年9月18日号掲載の報告。
ビルダグリプチン+メトホルミン併用群と単剤群に1対1で割り付けて5年間追跡
本試験は2週間のスクリーニング期、3週間のメトホルミン単剤導入期、5年間の治療期(試験期1、2、3に分けられる)から構成された。対象は、登録2年以内に新たに2型糖尿病と診断された18~70歳で、HbA1c値6.5~7.5%、BMI値22~40の患者で、併用群またはメトホルミン単剤群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。
試験期1において、メトホルミンの安定用量(1,000、1,500または2,000mg)に加えて、併用群ではビルダグリプチン50mgの1日2回投与を追加し、メトホルミン単剤群はプラセボを追加した。初期治療でHbA1c値が7.0%(53mmol/mol)未満に維持されなかった場合(13週間あけた連続2回の受診で確認)、メトホルミン単剤群ではプラセボの代わりにビルダグリプチンを投与し、全患者に併用療法を行う試験期2に登録した。
有効性の主要評価項目は、無作為化から初期治療失敗(試験期1における無作為化から13週後以降、連続した2回の受診でHbA1c値7.0%以上)までの期間であった。
最大解析(full analysis)は、割り付けられた試験薬を1つ以上服用し、無作為化後の有効性に関する項目の評価を1回以上受けた被験者を対象とした。安全性の解析は、割り付けられた試験薬を1投与量以上服用した全被験者を対象とした。
ビルダグリプチン+メトホルミン併用群は単剤群に比べて、初期治療失敗のリスクが半減
登録は2012年3月30日に開始され、2014年4月10日に完了した。4,524例がスクリーニングを受け、このうち2,001例がビルダグリプチン+メトホルミン早期併用群(998例)および単剤群(1,003例)に無作為に割り付けられた。2,001例のうち、ビルダグリプチン+メトホルミン早期併用群および単剤群でそれぞれ811例(81.3%)および787例(78.5%)の計1,598例が5年の治療期を完遂した。
試験期1における初期治療失敗の発生は、ビルダグリプチン+メトホルミン早期併用群429例(43.6%)、単剤群614例(62.1%)であった。初期治療失敗までの期間中央値は、単剤群で36.1ヵ月(四分位範囲[IQR]:15.3~未到達[NR])であった。一方のビルダグリプチン+メトホルミン早期併用群は61.9ヵ月(IQR:29.9~NR)で、わずかに試験期を越えていた可能性があった。
5年の試験期間中、ビルダグリプチン+メトホルミン早期併用群は単剤群と比較して、初期治療失敗までの期間の相対リスクを有意に低下したことが確認された(ハザード比:0.51、95%CI:0.45~0.58、p<0.0001)。
両群とも、安全性および忍容性は良好であり、予期しないあるいは新たな有害事象の発現はなく、治療に関連した死亡もなかった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)