2019年の米国の高等学校(high school)および中学校(middle school)の生徒における電子タバコ使用者の割合は高く(それぞれ27.5%、10.5%)、特定の銘柄の電子タバコ使用者の多くがフレーバー電子タバコを使用(72.2%、59.2%)している実態が、米国食品医薬品局(FDA)タバコ製品センターのKaren A. Cullen氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2019年11月5日号に掲載された。米国の青少年における電子タバコの使用率は、2011年から2018年に、実質的に増加しているという。青少年の電子タバコや他のタバコ製品の使用率の継続的な監視は、公衆衛生学上の施策や計画立案、規制の取り組みへの情報提供として重要とされる。
第6~12学年1万9,018人の横断研究
研究グループは、2019年の米国の高等学校および中学校の生徒における電子タバコの使用状況(使用頻度、銘柄、フレーバー製品の使用など)を調査する目的で、横断研究を行った(FDAと米国疾病予防管理センター[CDC]の助成による)。
2019年度の全国青少年タバコ調査(National Youth Tobacco Survey)に参加した第6~12学年(高等学校:第9~12学年、中学校:第6~8学年)の米国人生徒1万9,018人を対象とした。調査期間は、2019年2月15日~5月24日。
参加者の自己申告に基づき、現在電子タバコを使用中(過去30日以内に1回以上使用)、頻回使用(過去30日間に20日以上)、現使用者が習慣的に使用している銘柄(JUUL、blu、Logic、MarkTen、NJOY、Vuse、その他、なし)、特定銘柄の使用者(他のタバコ製品は使用しない)におけるフレーバー電子タバコの使用の有無と、使用しているフレーバーの種類を調査した。使用率の推定値は複雑抽出デザイン(complex sampling design)で重み付けした。
頻回(月に20日以上)使用者は160万人、毎日使用者は97万人
調査には、高等学校の生徒1万97人(平均年齢16.1[SD 3.0]歳、女性47.5%)と、中学校の生徒8,837人(12.7[2.8]歳、48.7%)が含まれた。学年別の参加者割合は全体として類似していた(範囲:第12学年12.9%~第7学年14.6%)。全体の回答率は66.3%だった。
2019年の電子タバコの現使用率の推定値は、高等学校生が27.5%(95%信頼区間[CI]:25.3~29.7)、中学校生は10.5%(9.4~11.8)であった。また、現使用者のうち、高等学校生の34.2%(31.2~37.3)、中学校生の18.0%(15.2~21.2)が頻回使用者であり、それぞれ63.6%(59.3~67.8)および65.4%(60.6~69.9)が特定の銘柄の電子タバコを使用していた。
現使用者のうち、高等学校生の59.1%(95%CI:54.8~63.2)、中学校生の54.1%(49.1~59.0)が、過去30日間にJUUL(ニコチン塩ベースの電子タバコ製品)を習慣的に使用しており、それぞれ13.8%(12.0~15.9)および16.8%(13.6~20.7)は、習慣的に使用している電子タバコの銘柄はないと回答した。
特定の銘柄の電子タバコの使用者のうち、高等学校生の72.2%(95%CI:69.1~75.1)、中学校生の59.2%(54.8~63.4)が、フレーバー電子タバコを使用しており、使用頻度の高いフレーバーは、果物(高等学校生66.1%[62.4~69.5]、中学校生67.7%[62.6~72.5])、メンソール/ミント(57.3%[53.3~61.3]、31.1%[25.6~37.2])、キャンディー/デザートなどの甘い物(34.9%[31.3~38.7]、38.3%[32.6~44.2])であった。
なお、過去30日間に、電子タバコ以外のタバコ製品を使用したと答えた生徒の割合は、高等学校生が5.8%(95%CI:4.6~7.3)、中学生は2.3%(1.8~2.9)であり、電子タバコと合わせると、それぞれ31.2%(29.1~33.5)および12.5%(11.2~13.9)が、何らかのタバコ製品を使用していた。
著者は、「これらのデータにより、2019年に米国の高等学校生410万人と中学校生120万人が電子タバコを使用したと推定される。このうち160万人が頻回使用者で、97万人は毎日使用しており、特定銘柄のフレーバー電子タバコの使用者は240万人と考えられる」としている。
(医学ライター 菅野 守)