ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がん患者において、CDK4/6阻害薬ribociclib+フルベストラント併用療法はプラセボ+フルベストラントと比較し、全生存(OS)を有意に改善することが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校David Geffen医学校のDennis J. Slamon氏らが、国際多施設共同無作為化第III相試験「MONALEESA-3試験」のOSに関する第2回中間解析結果を報告した。同試験の初期解析結果では、ribociclib+フルベストラント併用療法によりフルベストラント単独療法と比較し、主要評価項目である無増悪生存(PFS)期間が延長することが報告されていた。NEJM誌オンライン版2019年12月11日号掲載の報告。
ribociclib+フルベストラントvs.プラセボ+フルベストラント
試験は2015年6月~2016年6月に、未治療または1次治療の内分泌療法歴のある、18歳以上の閉経後女性または男性でホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がん患者726例を、フルベストラント+ribociclib併用療法群(484例)またはフルベストラント+プラセボ群(242例)に、2対1の割合で無作為に割り付け行われた。生存について、Kaplan-Meier法を用いて要約し層別log-rank検定で評価した。
42ヵ月推定OS率はribociclib群57.8%、プラセボ群45.9%
今回の解析は、第2回中間解析データカットオフ日2019年6月3日、死亡が275例に達した時点で実施された。死亡率は、ribociclib併用群34.5%(167/484例)、プラセボ群44.6%(108/242例)であった。
42ヵ月時点の推定OS率は、ribociclib併用群57.8%(95%信頼区間[CI]:52.0~63.2)、プラセボ群45.9%(36.9~54.5)であった。死亡の相対リスクの群間差は28%(ハザード比[HR]:0.72、95%CI:0.57~0.92、片側p=0.00455)で、ribociclib併用群はプラセボ群に比べOSが有意に優れていた。片側p値は事前に規定した優越性マージン(p=0.01129)を下回っており、ribociclib併用のフルベストラント単独に対する優越性が示された。
OS中央値は、ribociclib併用群は未到達、プラセボ群は40.0ヵ月(95%CI:37.0~推定不能)であった。OSの有益性は、ほとんどのサブグループで一貫していた。
最新の解析において、未治療患者集団におけるPFS中央値は、ribociclib併用群33.6ヵ月(95%CI:27.1~41.3)、プラセボ群19.2ヵ月(14.9~23.6)であった。新たな安全性シグナルは確認されなかった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)