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眼底写真の深層学習、視神経乳頭異常を鑑別/NEJM

眼底写真を用いて構築した深層学習システムは、乳頭浮腫のある視神経乳頭と、正常乳頭または乳頭浮腫以外の異常を伴う乳頭を鑑別可能であることが、シンガポール・国立眼科センターのDan Milea氏らBONSAIコンソーシアムの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年4月14日号に掲載された。乳頭浮腫(頭蓋内圧亢進による視神経浮腫)の検出や、視神経乳頭が正常と判定する能力は、頭痛や他の神経学的症状を呈する患者の評価に有益で、眼底検査所見は診断戦略や治療選択肢に影響を及ぼし、乳頭浮腫の検出の失敗は視力喪失や神経学的合併症をもたらす可能性があるという。一方、眼底写真を用いたAIおよび深層学習は、すでに糖尿病性網膜症や緑内障性視神経症を自動検出するシステムとして開発されている。
訓練と検証に1万4,341画像、外部テストに1,505画像を使用
研究グループは、眼底写真を用い、視神経乳頭に関して正常、乳頭浮腫、他の異常を鑑別するAIベースの深層学習システムを開発するための検討を行った(シンガポール国立医学研究会議[NMRC]などの助成による)。市販のさまざまな眼底カメラを使用し、薬剤で散瞳させて撮影したデジタルカラー眼底写真1万5,846画像を、後ろ向きに収集した。これらの写真のうち、11ヵ国19施設の1万4,341画像は訓練と検証に使用し、次いで、他の5ヵ国5施設の1,505画像を用いて外部テストを実施した。
視神経乳頭の外観を分類する能力は、受信者動作特性曲線下面積(AUC)、感度、特異度、正確度を、神経眼科医による臨床診断を参照基準として比較することで評価した。
眼底写真1万5,846画像は7,532例のもので、71.0%が両眼、17.6%が片眼、11.4%がフォローアップの受診時に再撮影したものであった。患者の平均年齢は48.6歳(範囲:3~98)、43.4%が男性だった。
外部テストの乳頭浮腫有病率9.5%、PPV 39.8%、NPV 99.6%
訓練と検証用のデータセット1万4,341画像(6,779例)のうち、9,156画像が正常視神経乳頭、2,148画像が頭蓋内圧亢進による視神経乳頭浮腫、3,037画像は他の異常を伴う視神経乳頭であった。テスト用の1,505画像では、613画像が正常乳頭、360画像が乳頭浮腫、532画像は他の異常だった。検証データセットでは、システムが視神経乳頭浮腫と他の視神経乳頭(正常+他の異常)を鑑別するAUCは0.99(95%信頼区間[CI]:0.98~0.99)であった。感度は93.2%(91.8~94.5)、特異度は95.1%(94.7~95.6)、正確度は94.8(94.4~95.3)だった。
また、正常視神経乳頭と異常な視神経乳頭(乳頭浮腫+他の異常)の鑑別のAUCは0.99(95%CI:0.99~0.99)であり、感度は93.5%(92.9~94.1)、特異度は96.2%(95.5~96.9)、正確度は94.5%(94.0~94.9)であった。
一方、外部テストのデータセットでは、システムが視神経乳頭浮腫と他の視神経乳頭(正常+他の異常)を鑑別するAUCは0.96(95%CI:0.95~0.97)、感度は96.4%(93.9~98.3)、特異度は84.7%(82.3~87.1)、正確度は87.5%(85.5~89.3)であった。
また、正常視神経乳頭と異常な視神経乳頭(乳頭浮腫+他の異常)の鑑別のAUCは0.98(95%CI:0.97~0.98)、感度は86.6%(83.8~89.3)、特異度は95.3%(93.8~96.8)、正確度は91.8%(90.3~93.3)だった。
外部テストのデータセットにおける乳頭浮腫の平均推定有病率は9.5%であり、このシステムの陽性適中率は39.8%(95%CI:36.6~43.2)、陰性適中率は99.6%(99.2~99.7)であった。
著者は、「本研究とは視神経乳頭異常の有病率が異なる可能性があるさまざまな設定において、深層学習システムが使用可能かを前向きに検証するために、さらなる検討を要する」としている。
(医学ライター 菅野 守)
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