COVID-19、ヒドロキシクロロキンで院内死亡低下せず/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2020/05/22

 

 ニューヨークの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキン、抗菌薬アジスロマイシンまたはこれらの両薬を治療に用いた患者は、いずれも使用していない患者と比較して、院内死亡率に有意差はなかった。米国・ニューヨーク州立大学のEli S. Rosenberg氏らが、COVID-19入院患者の後ろ向き多施設共同コホート研究の結果を報告した。ヒドロキシクロロキンの単独またはアジスロマイシンとの併用は、COVID-19に対する治療法の候補と考えられているが、有効性や安全性に関するデータは限定的であった。JAMA誌オンライン版2020年5月11日号掲載の報告。

無作為抽出したCOVID-19入院患者約1,400例を後ろ向きに解析

 研究グループは、ニューヨーク都市圏の25施設に2020年3月15日~28日の間で24時間以上入院したCOVID-19患者7,914例(同期間でのニューヨーク都市圏におけるCOVID-19全入院患者の88.2%を占める)から、施設単位で無作為に抽出した1,438例について、治療薬、既往症、入院時臨床所見、転帰および有害事象に関するデータを解析した。最終追跡調査は2020年4月24日。

 解析対象症例を入院期間中の治療に基づいて、ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの両方を使用(併用群)、ヒドロキシクロロキンのみ、アジスロマイシンのみ、どちらも非投与の4群に分類し、院内死亡率(主要評価項目)、心停止および不整脈/QT延長の心電図異常所見など(副次評価項目)を評価した。

ヒドロキシクロロキン服用群、非服用群と院内死亡率に有意差なし

 解析対象の1,438例(男性858例[59.7%]、年齢中央値63歳)において、ヒドロキシクロロキン単独群(271例)、アジスロマイシン単独群(211例)および併用群(735例)は、非投与群よりも、糖尿病、呼吸数>22回/分、胸部画像の異常所見、酸素飽和度90%未満、AST>40U/Lの患者が多い傾向にあった。

 院内死亡率は、全体で20.3%(95%信頼区間[CI]:18.2~22.4)であり、治療別では併用群25.7%(22.3~28.9)、ヒドロキシクロロキン単独群19.9%(15.2~24.7)、アジスロマイシン単独群10.0%(5.9~14.0)、非投与群12.7%(8.3~17.1)であった。

 調整Cox比例ハザードモデルでは、非投与群と比較し、併用群(HR:1.35、95%CI:0.76~2.40)、ヒドロキシクロロキン単独群(1.08、0.63~1.85)およびアジスロマイシン単独群(0.56、0.26~1.21)で、院内死亡率に有意差は確認されなかった。

 ロジスティック回帰モデルでは、非投与群と比較し、併用群(補正後オッズ比:2.13、95%CI:1.12~4.05)で心停止のリスクが有意に高かったが、ヒドロキシクロロキン単独群(1.91、0.96~3.81)とアジスロマイシン単独群(0.64、0.27~1.56)では有意差は確認されなかった。また、調整ロジスティック回帰モデルでは、心電図異常所見に相対的なリスクの差は認められなかった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)