慢性冠疾患患者においてコルヒチン0.5mg 1日1回投与は、プラセボと比較し、心血管イベントのリスクを有意に低下させることが、オーストラリア・GenesisCare Western AustraliaのStefan M. Nidorf氏らが実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「LoDoCo2試験」で明らかとなった。コルヒチンの抗炎症作用が心筋梗塞患者の心血管イベントリスクを低下させることが、最近の研究で示唆されていたが、慢性冠疾患患者におけるエビデンスは限られていた。NEJM誌オンライン版2020年8月31日号掲載の報告。
コルヒチン群とプラセボ群に慢性冠疾患患者約5,500例を無作為化
研究グループは2014年8月4日~2018年12月3日の間に、血管造影で冠疾患が確認され6ヵ月以上安定している35~82歳の慢性冠疾患患者5,522例を、コルヒチン(0.5mg 1日1回投与)群(2,762例)またはプラセボ群(2,760例)に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。
主要エンドポイントは、心血管死・突発性心筋梗塞・虚血性脳卒中・虚血による冠動脈血行再建の複合とした。主な副次エンドポイントは心血管死・突発性心筋梗塞・虚血性脳卒中の複合であった。Cox比例ハザードモデルを使用しintention-to-treat解析を実施した。
コルヒチン群で、心血管イベントの発生リスクが31%低下
合計5,522例の患者が無作為化を受け(コルヒチン群2,762例、プラセボ群2,760例)、追跡期間中央値は28.6ヵ月であった。
主要エンドポイントのイベント発生は、コルヒチン群187例(6.8%)、プラセボ群264例(9.6%)であった(発生率:2.5 vs.3.6件/100人年、ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.57~0.83、p<0.001)。主な副次エンドポイントのイベント発生は、コルヒチン群115例(4.2%)、プラセボ群157例(5.7%)であった(1.5 vs.2.1件/100人年、0.72、0.57~0.92、p=0.007)。
また、突発性心筋梗塞または虚血による冠動脈血行再建(複合)、心血管死または突発性心筋梗塞(複合)、虚血による冠動脈血行再建、および突発性心筋梗塞のいずれの発生率も、プラセボ群と比較してコルヒチン群で有意に低かった。一方、非心血管死の発生率は、コルヒチン群がプラセボ群より高かった(発生率:0.7 vs.0.5件/100人年、HR:1.51、95%CI:0.99~2.31)。
なお著者は、被験者の女性の割合が低いこと、血圧や脂質などのデータを収集しておらずリスク因子別の転帰が不明であること、炎症関連のデータを定期的に評価していないことなどを研究の限界として挙げている。
(医学ライター 吉尾 幸恵)