最適な血行再建術を選択する新SYNTAXスコアを開発・検証/Lancet

10年死亡ならびに5年主要心血管イベントを予測するSYNTAXスコアII 2020は、冠動脈バイパス術(CABG)または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の恩恵を得られる個人の特定に役立ち、心臓チーム、患者およびその家族が最適な血行再建術を選択するのを支援可能であることが示された。オランダ・アムステルダム大学のKuniaki Takahashi氏らが「SYNTAXES試験」の副次解析結果を報告した。無作為化比較試験は新たな治療法の有効性を検証するゴールドスタンダードで、一般的には平均的な治療効果を示すものであるが、治療効果は患者によって異なる可能性があり、個々の患者の治療を平均的な治療効果に基づいて決定することは最適ではない可能性がある。そこで著者らは、複雑な冠動脈疾患患者において最適な血行再建術を選択する個別意思決定ツールとしてSYNTAXスコアII 2020を開発し検証した。Lancet誌オンライン版2020年10月8日号掲載の報告。
10年死亡と5年主要心血管イベントを予測するSYNTAXスコアII 2020を開発
SYNTAXES試験は、2005年3月~2007年4月に北米および欧州の18ヵ国85施設で実施された医師主導型多施設共同無作為化比較試験(SYNTAX試験)の10年追跡試験である。新規の3枝または左主幹部病変を有する患者を、PCI群またはCABG群に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。主要評価項目は10年全死因死亡であった。研究グループは、SYNTAXES試験のデータからCox回帰法を用いて10年全死因死亡を予測する臨床予後指標を開発した後、治療の割り付け(PCI/CABG)と、これまでのエビデンスに基づいて選択された事前に規定した2つの効果修飾因子(病変の種類[3枝病変か左主幹部病変]、解剖学的SYNTAXスコア)も組み合わせたCoxモデルを開発。また、同様の方法を用いて、PCI/CABGを受けた患者の主要心血管イベント(全死因死亡、非致死的脳卒中、非致死的心筋梗塞の複合)の5年リスク予測モデルを開発した。
次に、両モデルについて、SYNTAX試験で交差検証(1,800例)を行うとともに、FREEDOM試験、BEST試験およびPRECOMBAT試験の併合集団(3,380例)で外部検証を行い、両モデルの予測能とその差(2つの治療群の絶対リスク差を算出し、CABGとPCIの推定利益を比較)の検討を行った。C統計量を用いて識別能を、較正プロットを用いて予測と観察の一致度を評価した。
SYNTAXスコアII 2020は5年主要心血管イベントの予測に関して有用な識別能
交差検証において、新たに開発されたSYNTAXスコアII 2020は、10年全死因死亡と5年主要心血管イベントの予測に関して2つの治療群で有用な識別能を示した。10年全死因死亡のC統計量は、PCIで0.73(95%信頼区間[CI]:0.69~0.76)、CABGで0.73(0.69~0.76)、5年主要心血管イベントのC統計量は、それぞれ0.65(0.61~0.69)、0.71(0.67~0.75)であった。外部検証においても、SYNTAXスコアII 2020は5年主要心血管イベントの予測に関して、有用な識別能(PCIのC統計量は0.67[95%CI:0.63~0.70]、CABGは0.62[0.58~0.66])と良好な較正を示した。
PCIを上回ると推定されたCABGの治療有益性は試験集団の患者間で大きく異なっており、有益性の予測は良好に調整されていた。
(医学ライター 吉尾 幸恵)
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コメンテーター : 中川 義久( なかがわ よしひさ ) 氏
滋賀医科大学 循環器内科 教授
J-CLEAR評議員