利尿薬を含む3剤配合降圧薬に抵抗性を示す高血圧患者に対し、超音波腎デナベーションは、2ヵ月後の収縮期血圧低下に有効であることが示された。偽治療に比べ、収縮期血圧値は中央値5.8mmHg低下したという。フランス・パリ大学のMichel Azizi氏らが、米国・欧州50ヵ所以上の医療機関を通じて行った無作為化単盲検偽治療対照試験の結果を報告した。血管内腎デナベーションは、軽症~中等症高血圧患者の降圧に有効だが、真性の抵抗性高血圧患者の有効性は示されていなかった。結果を踏まえて著者は、「降圧効果と腎デナベーションの安全性が長期的に維持されるのならば、抵抗性高血圧患者にとって腎デナベーションは降圧薬に追加しうる治療法となる可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2021年5月16日号掲載の報告。
2ヵ月後の日中自由行動下収縮期血圧値をITT解析で比較
研究グループは、米国28ヵ所、欧州25ヵ所の3次医療機関を通じて、利尿薬を含む3種以上の降圧薬を服用しながら、診察室血圧が140/90mmHg以上の18~75歳を対象に試験を行った。被験者は、試験開始後4週間は、Ca拮抗薬・ARB・サイアザイド系利尿薬の配合剤(投与量一定)の1日1回服用に切り替えた。
その後、日中自由行動下血圧が135/85mmHg以上の被験者を施設で層別化し1対1の割合で無作為に2群に分け、一方には超音波腎デナベーションを、もう一方には偽治療を行った。患者とアウトカム評価者は割り付けをマスクされ、規定した血圧値を超えた場合には、追加の降圧薬投与を可能とした。
主要エンドポイントは、ITT解析で評価した2ヵ月後の日中自由行動下収縮期血圧値の変化だった。安全性もITT解析にて評価した。
腎デナベーション群、2ヵ月後収縮期血圧値は8.0mmHg低下
2016年3月11日~2020年3月13日に、989例が試験に登録され、そのうち136例が無作為化を受けた。腎デナベーション群69例、偽治療群67例だった。
尿検査で確認した2ヵ月時点の配合剤の服用アドヒアランスは、腎デナベーション群82%(42/51例)、偽治療群82%(47/57例)と同等だった(p=0.99)。
2ヵ月後の日中自由行動下収縮期血圧値の変化は中央値で、腎デナベーション群-8.0mmHg(四分位範囲[IQR]:-16.4~0.0)、偽治療群-3.0mmHg(-10.3~1.8)と腎デナベーション群で有意な降圧が認められた(群間差中央値:-4.5mmHg[95%信頼区間[CI]:-8.5~-0.3]、補正後p=0.022)。完全なデータが得られた被験者における群間差中央値は-5.8mmHg(-9.7~-1.6、補正後p=0.0051)だった。
なお、安全性アウトカムについては、両群で差はみられなかった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)