降圧薬服用を中止した軽度~中等度の収縮期/拡張期高血圧が認められる患者に対し、腎デナベーションを行うことで、2ヵ月後の収縮期血圧がシャム群に比べて有意に低下したことが示された。フランス・パリ第5大学のMichel Azizi氏らが行った「RADIANCE-HTN SOLO試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2018年5月23日号で発表された。初期の試験では、高周波腎デナベーションが、中等度の高血圧患者の血圧を低下することが示されている。研究グループは、腎デナベーションが、降圧薬服用を中止した外来高血圧患者の血圧を下げる代替治療技術となるのかを検討した。
米国・欧州の39ヵ所でシャム対照試験
RADIANCE-HTN SOLO試験では、2016年3月28日~2017年12月28日にかけて、収縮期/拡張期高血圧の患者を対象に、米国21ヵ所、欧州18ヵ所の医療機関を通じて、無作為化シャム(擬似手術)対照単盲検比較試験が行われた。
被験者は、2種以下の降圧薬を中止してから4週間時点の収縮期/拡張期血圧値が135/85~170/105mmHgで、正常な腎動脈構造が認められた18~75歳の患者だった。
被験者を無作為に2群に分け、一方にはParadiseカテーテル(ReCor Medical)を使用した腎デナベーションを、もう一方には腎血管造影のみ(シャム)を施行した。
有効性の主要エンドポイントは、ITT解析による2ヵ月時点における日中自由行動下収縮期血圧(SBP)の変化だった。被験者は、事前規定した血圧基準を超えない限りは、追跡2ヵ月間は降圧薬の服用をしなかった。
主要有害イベントは、全死因死亡、腎不全、末端器官障害を伴う塞栓症、30日以内の高血圧クリーゼによる入院などだった。
施術2ヵ月後の日中自由行動下SBPは8.5mmHg低下
803例がスクリーニングを受け、試験適格だった146例(腎デナベーション群74例、シャム群72例)が対象となり試験を受けた。
日中自由行動下SBPの変化値は、シャム群-2.2mmHgに対し、腎デナベーション群は-8.5mmHgと有意に低下幅が大きかった(ベースライン補正後の群間差:-6.3 mmHg、95%信頼区間:-9.4~-3.1、p=0.0001)。
主要有害イベントは、両群ともに報告がなかった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)